ドライフライで釣る

ルースニングが水面下の釣りなら、こちらは水面より上の釣り。ようは水面にフライを浮かせ、それに直接食いつかせるというもの。管理釣り場の場合、水生昆虫が自然の湖沼と比べるとそれほど多くは無いため、朝夕のわずかな時間帯になんとか反応する、という程度のことがほとんどだ。とはいえ、地域によっては盛んにドライフライを追うこともあるので、まったく無視はできない。また、管理釣り場のポンドに直接生息している昆虫類(主に蚊など)が大量に発生するようなときは、自然の環境そのままに、羽化している虫とフライを合わせることができれば水面のフライにガバガバ出てくるから面白い。トラウトが見せる野性そのものを堪能したければ、断然この釣りがオススメだ。

これはフライフィッシングから自然に何が起こっているのか? どんな虫が羽化していて、トラウトはどの虫を選んで食べているのか? そしてそれをどう釣りに結びつけるのか? というこの釣り独特の考え方「マッチ・ザ・ハッチ」いわゆるトラウトが好んで捕食している虫とフライを合わせる、というものに繋がる大切な要素のひとつといえる。マッチ・ザ・ハッチについては後々後述するが、非常に明快な答えとそれに相反する矛盾の中で釣り人が苦悩する大変面白いもの。今は言葉だけ覚えておくぐらいでよいので、とりあえず、良く行く管理釣り場にマッチするフライを使うという程度でも十分楽しめるはずだ。

エルクヘアカディスは管理釣り場でもよく釣れるフライ。水面を意識しているトラウトには効果てき面だ
バイビジブルも曖昧な感じがよいのか管理釣り場で効果があるアイテム。このフライを使うときは、捕食されている虫とサイズを合わせるのがコツになる
ミッジは小さくて使いづらいが、ほかのフライではどうしても食べてくれないときに効果がある。ブラックやグレーなどが無難な選択になる
これは発泡スティックをマテリアルに使ったパターン。管理釣り場を舞台に、こうした新しいフライも次々考案されている
管理釣り場であまり外れがないフライの代表はエルクヘアカディス。このフライはカディス=トビゲラを模したものだが、トラウトにとってはほかの虫にも見える要素があるらしく大変反応がよいフライの代表。ガイドもこのフライが大好きで、どのシチュエーションで釣りをするにも必ず持って行くアイテムのひとつだ。管理釣り場の場合でも大変効くフライで、例えばマーカーを食べに来るトラウトが多いときや、朝夕にトラウトが水面の何かを捕食しているようなときはこれを使って楽しんでいる。エルクヘアカディスを管理釣り場で使うときのコツは、あまりマッチ・ザ・ハッチを意識しないこと。捕食しているのがユスリカのような小型の昆虫でも12番、14番といった大型のこのフライにガバガバ出てくるから不思議だ。おそらく、幼魚のころ食べていたペレットに見えるのか、とりあえず活性が高いから食べているだけかは推測の域を出ないが、魚の本能を刺激する魔性のフォルムといってもよいぐらいよく釣れてくれる。

そのほか、ハックルだけで構成されるバイビジブルもかなり有効なフライのひとつ。バランスのよいバイビジブルはフックを水面に付けないぐらい、非常に高く水面上をキープしてくれる。ハックルが水面をしっかり捉えているため、水面下から見ればこれから飛び立つ羽虫のように写るからかもしれない。このフライを使うときはエルクヘアカディスとは逆に、トラウトたちが捕食している虫のサイズに合わせることが重要になる。実際に捕食されている虫の正体が分かるのなら、それより若干大きい程度のフライをそーっと投げてあげると、すぐに反応があるはずだ。

また、管理釣り場ではあまり使われないが、ミッジとよばれる極小のフライも効果的。どのドライフライにも反応しないようなときに使ってみると、思わぬ大釣りができるので面白い経験ができるはずだ。ミッジを使うときは8x以下と、ティペットを思いっきり細くするのがコツ。極細のティペットを使うことで、フライがラインの影響を受けず、小さいミッジの姿勢が良くなるからだ。ただし、極細のラインなのでやり取りには細心の注意をはらおう。
釣果だってご覧のとおり。よく浮いてよく釣れる優れものだ
ガイドがオススメするフライの特長と使い方は以上だが、管理釣り場のドライフライは予想以上に複雑だ。今回紹介しているフライだけでなく、新素材を使ったシンセティッックマテリアルフライなどもある。何度も釣り場に通って季節ごとの傾向からベストなフライを選択できるようになるまで、様々なタイプのフライを持っていき、実際に試してみるのがオススメだ。

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