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フライフィッシングとは、どんな釣り?

フライフィッシングとは、どんな釣りのことかご存知でしょうか。フライフィッシングとはトラウトの食性を利用し、フライを模した毛針を使う釣りのことだ。何も難しく考える必要はありません。身近なところでもフライフィッシングは楽しめますよ。

執筆者:中山 一弘

フライフィッシングとは

フライフィッシングとは

<目次>

フライフィッシングとは、ネイチャースポーツ!

日本の渓流は美しい。のんびり一日ロッドを振っているだけでも満足できる
春になると一斉に解禁となる日本の渓流釣り。主な対象魚はヤマメ・イワナ・ニジマスで我々日本人にはとても身近な存在だ。これらはすべて「トラウト=Trout」と呼ばれ、平たく言えばマス類。この魚種の食性は肉食で、水中や空中を漂う昆虫や小型の魚がメインディッシュになっている。

もうおわかりだろうか?フライフィッシングとはこのトラウトの食性を利用し、彼らが常食している「フライ(メイフライ=カゲロウ)」を模した毛針を使う釣りのことなのだ。

このフライフィッシングの発祥は定かではないが、ヨーロッパで発達しアメリカで完成したとされている釣法になる。日本でも古来よりマス類を釣るときに毛針を使っており、いまだに釣り師の中には好んで日本古来の毛針をもちいた釣法「てんから」を使う人も多い。「マスを毛針で釣る」この釣法がもともと日本でも行われていたように、世界共通のポピュラーな釣りなのだ。

 
ショップで売っている毛針は非常に美しい。これを手本にいろいろ作ってみるのもアリだ
ほかの釣りとフライフィッシングの大きな違いは、軽い毛針(フライ)を自在に操るために考え抜かれたロッドとラインにある。通常の釣りに使うよりも太く重いラインを、専用の調子を持つロッドでムチのように扱う。そのムチのようにしなる力を利用し、20ヤードを越えるポイントへわずか1グラムにも満たない毛針を届ける奇跡のような釣りなのだ。

また、飛び交う虫達と水温や天候との関わりや、トラウトたちの捕食行動がどんな要因で起こっているのかなどを推測しているうちに自然と周囲への観察眼が養われることになる。これまでの釣りではあまり味わえなかった感覚に、あなた自身の釣りに対する考え方も変わってくるはずだ。

この釣りが楽しめるのは、主に渓流、湖などだが、最近ではこうした自然のシチュエーションを人工的に作った管理釣り場も人気を集めている。管理釣り場は当然のことながら、魚が豊富でトイレ設備や食堂などがあるところも多く、抜群に釣りやすいので家族連れや女性アングラー(釣り人)もたくさん訪れている。
 

釣りをするだけがフライフィッシングの楽しみではない

完成した毛針を眺めていると、このときだけは釣れまくると核心できる
ほかの釣りにはない特殊なキャスティングをマスターすることや、自然に対する奥深い理解などなど、フライフィッシングには釣りをすること意外にも楽しみは多い。その最たるものに「タイイング」と呼ばれるものがあるのをご存知だろうか?

タイイングを簡単に解説すると「自分で毛針を巻く」ということになる。小さな針と大量の素材(マテリアル)を見ると最初は「うへー」と呻く人もいるが、そんな人でも簡単なレクチャーを一回受けるだけでタイイングの虜になることも多い。

タイイングによって作ることができるのは、トラウトたちが常食している虫たちのイミテーションをはじめ、煌びやかなアクセサリーを彷彿とさせるような変わった毛針もある。最初からこれらを巻くことは難しいが、別にタイイングの名手が作るような精密な毛針を作れというのではない。実際、釣りに行けばわかると思うが、ショップで売っている精巧な毛針よりも、不慣れな手で作ったガシャガシャの毛針のほうが釣れるときもあるのだ。どうしてそんな結果になるのかは魚に聞いてみなければわからないのだが、自分で巻いた毛針で釣った一匹は格別だ。釣りに行けない休日にじっくり巻くもよし。釣り場で昆虫観察をしながら現地で巻くもよし。こんな楽しいタイイングをやらない手はないだろう。

とにかく一本ずつでいい。最初はショップで買ったフライをメインに、ひっそりとフライケースに自分で作った毛針を忍ばせておこう。ここ一番で使ってみると意外な効果を発揮してくれるかもしれないではないか。
 

魚と遊ぶ。これ釣りの極意なり

マラブーを使った浮き釣りではご覧のとおりグッドサイズのイトウがお出ましに。こんな大物が比較的簡単に釣れるのも管理釣り場の魅力だ
これからいろいろなことを覚えなければならないけど、そんなに難しく考える必要はない。要は釣りを楽しむことさえできればよいのだ。例えば本格的な渓流へ行かなくても、近所の管理釣り場でも十分魚の引きは味わえるし、腕が未熟で釣果に恵まれなくても、自然の景観と釣りをしているという雰囲気が楽しめればそれでオッケーなのだ。

ガイドも、まとまった休みや確実に休める日がとりづらい職業なので、ちょっと時間が空くと管理釣り場へ行くことが多い。本当は渓流や湖でのんびりフライロッドを振りたいのだが、なかなか思い通りにはいかないのだ。それでも釣りには行きたい、数時間でもいいから魚と遊びたいと思いは募るばかり。そんな欲求を満たしてくれる自宅近所の管理釣り場は大変ありがたい場所なのだ。

なじみの管理釣り場へ赴き、ティペット(釣り糸の一種)にその日一番釣れると信じるフライを結び、キャストを開始すれば、デスクに山積みの原稿からも開放される。もう、脳裏にはトラウトたちがフライを食う瞬間しか思い浮かばないのだ。勢い良く消しこまれるマーカー。浮かんでいるドライフライに全身を出しながら襲い掛かるトラウト。突然手元に伝わる、魚の顎を針が貫通する手ごたえ。次々と起こるドラマを時間一杯まで楽しむだけだ。

時間はあっという間に過ぎ、いそいそとタックルを仕舞い込み、会社へと車を走らせるのだけれど胸中は充実感で一杯。もちろん、仕事場へ着けばまた泥のようにまったりしながら溜まった原稿をやっつけなければならないのだが、頭の片隅では早くも次回の釣行スケジュールを捻出するための小知恵がちらつきはじめる。みなさんもひととおりフライフィッシングを覚えたら、きっとこの感覚がわかってくれると思う。

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