アート・美術展/アート・美術展関連情報

進化を続けるメディアアートの今(2ページ目)

ビデオやコンピュータ技術、視覚的なトリックを用いた最新の「メディアアート」をご紹介します。ICCの「オープン・スペース」や「エレクトリカル・ファンタジスタ」など展示情報もお伝えします。

執筆者:橋本 誠

人間の知覚を利用したアート

グレゴリー・バーサミアン「ジャグラー」1997年
グレゴリー・バーサミアン「ジャグラー」
次に、グレゴリー・バーサミアンの立体的なアニメーション作品「ジャグラー」をご紹介します。こちらは人間の知覚の原理、「残像効果」を利用しています。

円盤が回転し点滅するストロボライトがオブジェに当てられると、驚くことに奥行きをもった立体的なアニメーションが出現します。しかしストロボライトの点滅がとまると、アニメーションの姿は見えなくなります。そしてひとたび回転が止まれば、立体オブジェが少しずつ位置を変えながら円盤上に配置されているのを見ることができるでしょう。

この作品は高速で回転する円盤にのった立体オブジェに点滅するストロボライトをあてることにより、人間の知覚にだまし効果を与えているのです。

例えばパラパラ漫画を例にあげると、各々の絵と絵の間はとぎれとぎれに描かれているのですが、人間の目は短い時間に起きた絵の変化を見分けることができないので、連続して見えてしまうのです。

このように知覚など人間の身体性を利用した表現もメディアアートの特徴です。

最新の研究技術とアーティストのコラボレーション

石井陽子+中茂睦裕+小林稔 NTTサイバーソリューション研究所<br>「情報を降らせるインタフェース」2007年
石井陽子+中茂睦裕+小林稔 NTTサイバーソリューション研究所 「情報を降らせるインタフェース」 2007年
こちらの「情報を降らせるインタフェース」は近未来の世界を予感させられる作品です。

映像をすくうように手を光りの中に差し出すと、手のひらの中にアニメーションが映し出されます。そして絵本のページを開くように両手を閉じたり開いたりと動かすと、物語が展開していくのです。それはまるで手のひらの中でひとつの世界をうごかす魔法を身につけたような気分にさえさせられてしまいます。

この作品に用いられている技術には、現在マウスやキーボードを使ったコンピューターの操作が今後より直感的な操作で実現されるのではないか予感させるものがあります。

実際に作品のシステム部分の技術はNTTサイバーソリューション研究所が担当し、アニメーションによるコンテンツ部分はアーティストらが担当しています。このように技術者とアーティストによるコラボレーションがメディアアートではたびたび行われています。

最後のページでは、メディアアートを見ることができる施設や展覧会の情報をご紹介します!
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