アート・美術展/アート・美術展関連情報

竹林にたたずむ個性派の美術館

都心の喧騒から離れて自然の中でゆっくりとアートを楽しみたい。そんな時にぴったりの、横須賀にあるカスヤの森現代美術館をご紹介します。

執筆者:橋本 誠

文章:橋本 誠(All About「アート・美術展」旧ガイド)
貴重な休みの日――。アート鑑賞でパワーチャージ!と思ったら、楽しみにしていた美術展は大混雑で逆にぐったりしてしまった、なんて経験はありませんか?

人気の美術展もいいのですが、人ごみを離れてゆっくりとくつろげる美術館でアートを楽しむのもなかなか良いものです。今回はそんな時にぴったりの、個性派の美術館をご紹介します。

魅力的な空間とこだわりのコレクション


カスヤの森現代美術館

カスヤの森現代美術館(横須賀市平作)は、1994年に現代美術家の若江漢字氏が開設した私設の現代美術館です。

企画展示室
企画展示室
竹林を切り開いて建てられたお洒落な建物に足を踏み入れると、そこには美術館らしい適度な緊張感がありながら、適度にくつろげる雰囲気も漂う空間が広がっています。

主に見ることができるのは、現代美術家でありながら教育者であり、社会活動家でもあったヨーゼフ・ボイス(1921-1986)や、ビデオ・アートの創始者とも言われているナム ジュン・パイク(1932-2006)を中心とした美術館所蔵のコレクション(常設展示)と企画展。

ナム ジュン・パイク
「パイクのグランド・ピアノ'86」1986年
特に、ヨーゼフ・ボイスについてはドキュメントやドローイング、小さなオブジェを中心としながらも(※)多数の作品を一度に見ることができたり、ナム ジュン・パイクについては1986年に神奈川「芸術-平和への対話」展のオープニングイベントとして行われた山下洋輔とのジョイントコンサートの際に制作されたという貴重なグランド・ピアノの作品を見ることができるといった点が魅力です。
※ヨーゼフ・ボイスは大きな彫刻作品なども残しているが、パフォーマンスなど活動そのものを作品として提示したり、思想を重視していたりしていたので、それらを裏づける「証拠」のような作品も多く残している。

このグランド・ピアノの作品は、若江氏が当時制作に協力したことから寄贈されたもので、このことが美術館開設のきっかけとなったそうです。

企画展としては、過去に河口龍夫、倉重光則、長谷川繁、松澤宥、宮脇愛子など様々な作家を主に個展というかたちで紹介したり、収蔵品も含めた特別展を行ってきました。

また、企画展示室とは別に第二展示室を設けてフレキシブルに行える展覧会を同時開催したり、美術館とゆかりのある作家を中心にオリジナルの作品(小品、版画等)を来館者が購入しやすい価格帯で提供するなどの試みを行っています。

次のページでは、美術館のさらなる見どころをご紹介!
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