文章:橋本 誠(All About「アート・美術展」旧ガイド)
「巨匠で見るアート」シリーズ、近・現代編の最終回は、カンディンスキーとモンドリアンの作品を通して、抽象絵画に関する運動をご紹介したいと思います。「もの」を描くことから離れたカンディンスキー
ヴァシリー・カンディンスキー 《相互和音》 1942年頃 |
ヴァシリー・カンディンスキー(1866-1944)は、具体的な「もの」を描くことに捉われず、むしろ少しづつその具体的な描写を取り除くことで、色と形だけを残した抽象絵画を描くことに挑戦しました。
画面の中に何か「もの」を描くことで表現とするのではなく、色や形をあくまでも要素として描き、音楽のように全体のイメージそのものを作品として表現したのです。
その証拠に、彼の作品には「コンポジション(=作曲)」と名づけられたものが多くあります。
彼が抽象絵画を描くようになったエピソードに次のようなものがあります。
ある時自分のアトリエに入ると、何が描かれているのかよく分からないものの、美しい絵を発見したが、それは横倒しになった自分の絵だったというものです。
ここでは何が描かれているか、ということより、どのように描かれているのか、ということが重要になっているのです。抽象絵画はこの部分を突きつめた表現だと言うことができます。
東京国立近代美術館「カンディンスキー展」へのリンク>>こちらから
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