文章:橋本 誠(All About「アート・美術展」旧ガイド)
先日の記事でもご紹介しました今年の夏大注目のイベント「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 2006」が7月23日(日)に開幕しました。9月10日(日)までの会期もちょうど折り返し地点を過ぎたところです。760km2もの広大な里山を舞台に、300以上ものアート作品やプロジェクトが展開されている「大地の芸術祭」。全ての作品を見るためには1週間かかるとも言われています。
今回はその中から、私が実際に見てきた言わずもがなの選りすぐりの見所や芸術祭の雰囲気をお伝えしたいと思います。
作品は各地域に点在、ラリー形式で巡るアートの旅
必携のガイドブックとパスポート。作品をめぐり歩きながらスタンプを集めていくのも楽しい |
できれば出発前にガイドブック入手して、限られた行程の中で必ず見ておきたい作品をチェック。All Aboutの事前特集もぜひ参考にしてくださいね。
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※ガイドブックは雑誌『美術手帖』増刊号として美術出版社より発売中。全国の主要書店やミュージアムショップのほか、「大地の芸術祭」関連施設で入手できます。
美しい景色とアート作品、どちらも楽しむ
景山健《ここにおいて 津南 2006》豊かな緑の中に作品の赤い色が映える。マウンテンパーク津南の展望台付近から津南地区全域を望む場所 |
菊池歩《こころの花》美しいブナ林の中にビーズで作られた花が咲きほこる作品 |
作品も、これらの景色を生かすために工夫して制作されたものが多く、美しい景色とアート作品を両方とも楽しむことができます。
景山健《ここにおいて 津南 2006》は、津南町付近における緯度経度1秒(30.824×24.718m)を視覚化した作品。赤く塗られた割り箸が地面へ無数に突き刺さされた作品ですが、緑豊かな絶景の中に不思議と溶け込みつつも、異彩を放っています。ここは、河岸段丘のダイナミックな景色が最もよく見えるスポットのひとつでもあります。
菊池歩《こころの花》は、美しいブナ林に、作家と集落の人々がつくった3万本を超えるビーズの花が静かに咲いている話題作。林の中に突如として広がる花畑は人工的な景色のはずですが、ひとつひとつが手作業によりつくられた愛らしい造形であり、優しい気持ちにさせられます。
時にはひとつの作品を見るためだけに数十分車を走らせたり、車を降りて山道を登ったりといったことが必要になりますが、その先にはすばらしい景色や、それらに彩りを添えるアート作品が待ってくれています。
次のページでは、2006年の見所「空家プロジェクト」と、2003年に引き続き拠点となっている「ステージ」作品の様子をご紹介します!