文章:橋本 誠(All About「アート・美術展」旧ガイド)
国際的に注目を浴びる芸術の祭典
「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」は、新潟県越後妻有地域で2000年より3年に1度開催されている注目の国際芸術展 |
国際的には最も歴史のあるイタリアのヴェネチア・ビエンナーレ(1895年より開催)などが有名ですが、日本では福岡アジア美術トリエンナーレ(1999年より開催)、横浜トリエンナーレ(2001年初開催、2回展は事情により2005年に開催)などが知られています。
多くのトリエンナーレ、ビエンナーレには開催される都市を活性化させる目的があり、様々な形態で開催されていますが、国際的にもその独自性が注目を浴びているのが、2000年より新潟県越後妻有地域で開催されている「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」です。
今回は2006年7月23日から9月10日にかけて、第3回展が開催される「大地の芸術祭」を徹底事前特集したいと思います!
自然に触れ、五感で体験するアート
豊かな森林と棚田が広がる越後妻有地域の全土が作品の舞台になる |
※十日町市・川西町・中里村・松代町・松之山町・津南町の6市町村でスタート。2005年4月に川西町・中里村・松代町・松之山町は十日町市と合併。
コンセプトは「人間は自然に内包される」。山と川、棚田と美しい集落の点在する760キロ平米という広大な地域を舞台に、アーティストだけではなく、地元住民、サポーターらの協働により様々な作品・プロジェクトが展開されます。
過去には2回開催され、第1回には148組、第2回には157組のアーティストが参加しました。制作された作品のうち130点は今回も見ることができ(次のページでご紹介)、新たに40の国と地域より約200組のアーティストの作品が制作、設置されます。
作品は特定の会場に集約され見せられるのではなく、広大な地域に点在する集落ひとつひとつをベースに設置されるので、観客はアートを求めて里山をめぐりながらの鑑賞になります。
私も2003年の大地の芸術祭には、3泊4日の日程で出かけましたが、美しい自然を歩く中で五感が開放され、作品からは、誰もが持ちうる「芸術」以前の「ものを想像する力」を素直に感じることができたような気がします。
利便性を求めて、都心に生活する現代人が忘れがちな感覚を再認識させてくれる「大地の芸術祭」──。都会を中心とした国際展が一般的である中で、山間地を舞台としたこの祭典は、芸術祭の新しいモデルとして世界的に注目を浴びています。
今年の開催までには、一昨年の洪水、中越大震災、昨年来の記録破りの豪雪と様々な困難がありましたが、芸術祭を通して地元とつながりを強めたアーティストや、首都圏を中心としたサポーターらの熱心な支援と準備活動により第3回展は実現します。
もはや美術展や「トリエンナーレ」といった言葉だけには活動の幅がとどまらない「大地の芸術祭」。ぜひ直接、参加・体験していただきたいと思います!
次のページでは、今回も見ることができる恒久設置作品を中心にご紹介します!