ある若者のオートロック利用法
住人じゃないのに?
「マンションがオートロックだから、部屋の鍵をかける必要がない」と考えているようです。彼は、地方出身で、18歳で一人暮らしを始めるまでは実家に暮らしていて、家の鍵をかけたことはほとんどありませんでした。マンションに暮らすようになっても、「家=マンションの玄関の鍵はいつもかかっている=オートロック=だから、自分の部屋は鍵をかけなくても大丈夫」という発想なようですが、言うまでもなくこれは大変な考え違いです。
「オートロック」が万全でない理由
建物の居住者以外にも、たとえば、何かの配達の人も知っているかもしれません。現実に、この男子大学生は、自分の彼女にオートロックの暗証番号を教えています。つまり、建物の居住者だけが知っているわけではないのです。また、誰かが入っていくときに、続けて入って来る人がいます。その人が居住者かそうでないか、確かめることはないでしょう。となると、居住者以外の人でも簡単に入れるということになります。特に、日本では「お互い様」の精神があり、誰かが一緒に入ってこようとするときに、(イヤだな)と思っても、結局、入れてしまうでしょう。もし、その人物が泥棒だったらどうでしょう? 不審者は、そうして侵入したマンションなどで、各部屋の玄関ドアのノブを回して、鍵をかけていない部屋=侵入できる部屋を探しています。
うっかり、鍵をかけずに室内にいたときに、ドアノブを回され玄関を開けた人物と目が合って、「あ、間違えました」と、あわててドアを閉められた人がいます。その人物は、泥棒だったのではないかと考えて、初めて恐怖を覚えて、ようやく玄関の鍵をかけることに慎重になった人もいます。そうそう部屋を間違えるなんてことはないはずです。おそらく、不審者がドアノブを回して侵入しようとしたけれども、住人がいたため、間違えたふりをしたのではないでしょうか。
間違えたふりをされただけで済んだなら、その後、警戒するようになるきっかけとして、ある意味でよかったといえるでしょうが、もし万が一、泥棒であったり、強盗だったりしたら、被害の発生を悔やんでも遅いでしょう。たとえ、一人暮らしでも、盗まれたら困るものはたくさんあるはずです。現金や通帳、印鑑、カード類だけでなく、パソコンのデータなども貴重です。
建物は実家じゃない!
マンションやアパートなどの集合住宅は他人同士が同じ屋根の下にそれぞれ自分の部屋があるというだけの、建物だというだけのことです。実家のように、家族が同じ屋根の下に住んでいる、というのとはわけが違います。他人の部屋が集まっている中に自分の部屋があるというだけで、建物内の通路は路上と同じであり、誰でもが入って来ることのできる場所だという認識が必要です。建物は実家ではなく、自分の部屋は他人に侵されてはならない場所です。「オートロックだから」と、コンビニやゴミ捨てなどのわずかな時間といえども鍵をかけることはわすれてはいけません。自分の命と財産を預ける金庫と考えて、いつでも鍵をかけておき、出入りのときだけ鍵を開けるものだと考えましょう。「オートロック」を過信して、自室の鍵を開けたままにしないようにしましょう。