フーダニット、ハウダニットより、ホワイダニット
『火車』は宮部みゆきさんの最高傑作とも言われる作品。自己破産していたことが婚約者に発覚し姿を消した女を休職中の刑事が追う。女の過去に隠された秘密が切ない。 |
畠中さん:宮部みゆきさんの『火車』がすごく好きですね。初めて読んだときは“おお!”という感じでした。デビュー前に、いろんな小説の構成を見て勉強させていただいたことがあるんです。『火車』も試したんですが、むずかしかったですね。構成が緻密で。
ガイド:「なめくじ長屋」は本格ミステリーですけど、『火車』はどちらかというと社会派の作品ですね。
畠中さん:本格派と社会派、読者としては両方好きです。たとえば石持浅海さんの『扉は閉ざされたまま』とか、ロジカルに推理する本格モノは自分で書いたことないので面白いし、すごいなぁと思います。でも今書きたいのは『火車』のような小説なんですよね。フーダニット(Who done it?)やハウダニット(How done it?)よりも、ホワイダニット(Why done it?)に興味があるんですよ。
時代小説家?ファンタジー作家?それともミステリー作家?
料理上手な21歳の事務員・佐倉聖(男子)が、政治家事務所に持ちこまれたやっかい事を解決。ボスの大堂剛や、王子といわれる若手代議士・加納など、キャラクターが魅力的です。シリーズ化してほしい! |
畠中さん:いやぁ、そんなことは。好きなように読んでいただいていいと思います。私の本って“書店で見つからない”ってよく言われるんですよ。ミステリーだけじゃなくて時代小説とか、ファンタジーとか、ホラーとか、いろんな棚に並べてあるらしくて(笑)。
ガイド:新刊の『アコギなのかリッパなのか』は大事件こそ起こらないですけど、日常の謎を書いたミステリーとして楽しい本だと思います。では最後に、読者にメッセージを。
畠中さん:身近な部分もあるんだけどなかなか知る機会がない政治の世界を、楽しめるように書いたつもりです。どうぞ読んでみてください!
畠中さんの小説が好きならこのミステリーにも注目!
化学者、数学者、弁護士、画家、作家、暗号専門家からなる<黒後家蜘蛛の会>のメンバーは毎月晩餐会を開く。招かれたゲストが話す不思議な出来事の真相をああでもこうでもないと皆で推理するが、謎を解くのはいつも給仕のヘンリーだった……。 |
・しゃばけ倶楽部
「しゃばけシリーズ」の公式サイト。キャラクター紹介や、畠中さんのコラムが掲載されています。
・TSUZUKI_WORLD
畠中さんが師事していた、都筑道夫さんのファンサイト。都筑さんは2003年にお亡くなりになっていますが、今でも作品は愛されています。