ベトナム株の銘柄の選び方
ベトナム経済が成長していく過程では、たしかに株価全体が底上げされます。しかし、日本や中国の株式市場がそうであったように、ベトナム株のなかにも淘汰されるものが出てくるでしょう。一方で日本株ならソニーやホンダ、中国株なら万科企業や中国石油のように、市場全体の平均を上まわった成長を遂げる企業も出てきます。言うまでもなく、どの企業の株を買うかは、株式投資をする上でもっとも重要な選択だと言えるでしょう。では、どのような企業を選んでいけばよいのでしょうか。現時点で注目したいのは業界のトップ企業です。不動産や通信、金融などといった分野から、その業界のトップ企業を選んで投資をするのが、ベトナム株の場合には良いと言えそうです。ベトナムはまだまだ国自体が発展段階にありますので、その業界のトップ企業といっても、まだまだ成長余地の大きい企業が多いからです。そのような企業を買い、長期保有をしていくのが良いのではないでしょうか。
たとえば、ベトナム最大級の不動産企業としてホアンアインザーライ(HAG)という企業があります。同社は全国に多くの不動産開発案件を展開しており、250万平米の土地を保有しています。その他、天然ゴム事業、水力発電事業、鉱山開発事業にも進出しています。同社の大株主でもあるドゥック会長は、同社の上場によってベトナムで一番のお金持ちになりました。さて、その同社の業績ですが、2009年の利益は税引き前利益で1兆7000億ドンには達する可能性が高いと見られています(2009年1~11月までの利益が既に1兆6030億ドン)。ちなみに2008年の税引き前利益は1兆0061億ドンですから、1年で70%近い成長をしたことになります。しかし、同社は既に2010年の業績予想を発表しており、これが2兆6810億ドンになるとしています。つまり50%以上の成長を予想しているわけです。
このように年間50%以上の成長を、中小企業ではなく、不動産最大手の企業が遂げているのが今のベトナム株式市場の象徴的なことと言えるでしょうか。ちなみに50%の成長が3年間続けば業績は3.375倍になります。といって、先進国の成長企業のような、とんでもない高水準の株価ではなく、HAGの09年予想PERは17倍前後です。つまり、3年間50%の成長が続き、3年後もPER17倍前後で取引されていたとすると、株価は単純計算で3.375倍になる計算です。
このような高成長の業界トップ企業を買うことができるのが、ベトナム株投資の最大の魅力と言うことが出来るでしょう。