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東野圭吾『新参者』は家族のミステリー(2ページ目)

当代随一の人気作家・東野圭吾の『新参者』が発売に。舞台は東京の下町、人形町!

石井 千湖

執筆者:石井 千湖

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一番のミステリーは「家族」

新参者
<DATA>タイトル:『新参者』出版社:講談社著者:東野圭吾価格:1,680円(税込)
事件当日に被害者宅を訪れた保険会社の営業マンのアリバイを証明する煎餅屋、現場に残されたものと同じ人形焼きを買った青年が働く老舗料亭、被害者がときどき訪れていた瀬戸物屋……。それぞれの家族のエピソードが短編小説としても読めます。

なぜ営業マンは上着を着ていたのか。青年の買った人形焼きに入っていたものとは? 被害者の家にはどうしてキッチンバサミが二つあったのか。それらの小さな謎が、聞き込み先の家族の秘密と結びつく。そして、加賀は謎を解いて事件の手がかりをつかむと同時に、それぞれの家族が抱える問題もあらわにしてしまいます。また、家族に対する思いやりが、事件の原因になっているところが悲しい。

前作『赤い指』も、親子関係が物語の核になっていました。一番のミステリーは、家族ということなのかもしれません。

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