東野圭吾の新刊『新参者』
<DATA>タイトル:『新参者』出版社:講談社著者:東野圭吾価格:1,680円(税込) |
加賀恭一郎は洞察力と優しさを併せ持った刑事です。それゆえに出世街道をはずれ、所轄を渡り歩いています。今回の着任先は日本橋署。
お世辞にも、最先端の街とはいえない。洋服店に飾ってあるのは中高年女性をターゲットにした商品ばかりだし、昼間は爪楊枝で歯を掃除しながら歩くサラリーマンが歩道を占拠する。唯一の取り柄は、昔ながらの江戸情緒が残っている点だ。
と作中で語られる人形町の商店街が主な舞台になっています。私も人形町は好きでたまに行きますが、街の描写はとてもリアル。東野ファンはきっと、訪れてみたくなることでしょう。
人形町に近い小伝馬町のマンションで起こった絞殺事件を軸に、物語は展開していきます。実業家の妻として裕福な生活を送っていた中年女性が、どうして離婚して縁もゆかりもない下町に移り住み、殺されることになったのか。加賀の聞き込みによって、徐々に明らかになっていくのです。
本書の読みどころは、関係者の家族、それぞれに秘められた謎!