<バックナンバー>
・寄り道しながら『1Q84』を読む【1】
デビュー作『風の歌を聴け』
<DATA>タイトル:『風の歌を聴け』出版社:講談社著者:村上春樹価格:400円(税込) |
語り手の「僕」が大学生のときに知り合った作家の言葉から、『風の歌を聴け』は始まります。8年間の逡巡を経て20代最後の年を迎えた「僕」は、完璧な文章なんて存在しない、そう自分に言い聞かせて、文章を書き出すのです。
「僕」はまずデレク・ハートフィールドという作家について語り、次に3人の叔父について語り、そして1970年の8月8日に始まって26日に終わる話を語ります。金持ちが嫌いな金持ちの息子・鼠とビールを飲み、左手の小指がない女の子と出会い、とりとめもない会話をかわす夏休み。
文庫本で160ページ。一見、さらっと読める青春小説なのですが……。