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高野秀行『メモリークエスト』に興奮!(3ページ目)

未知の世界で見たものを面白おかしい文章で描く人気辺境作家・高野秀行。最新刊は他人の記憶を旅する『メモリークエスト』だ。

石井 千湖

執筆者:石井 千湖

話題の本ガイド

オセロのような世界・アフリカ

メモリークエスト
<DATA>タイトル:『メモリークエスト』出版社:幻冬舎著者:高野秀行価格:1,470円(税込)
“世界で最も治安の悪い都市”といわれるヨハネスブルクで、何の情報も得られず、もはやこれまで、とあきらめかけたときに、奇跡が起こったり。当時、自分の後輩が被害者になった悲しい事件についてリシャールと話したことを思い出したり。過去と現在、他人と自分の記憶が意外なところでリンクする。

また、昨日は正義だったものが今日は悪になる、作中の言葉でいえばオセロのように変化が極端なアフリカの社会も描かれている。こんな世界があるのか、と衝撃を受けずにはいられない。

人間が旅をするのは、自分の住んでいる小さな世界の外側にはいろんな世界があって、いろんな人がいるということを知りたいからではないだろうか。本書を読むと、依頼人の記憶と著者の体験を通して、“どこかにいる誰か”の存在が、読み手のなかにぐわーっと立ちあがってくる。そのときの興奮と感動。ぜひ味わってみてほしい。

【関連サイト】
高野秀行オフィシャルサイト…プロフィール、著作リスト、ブログなど。


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