「スラムドッグ$ミリオネア」原作『ぼくと1ルピーの神様』
<DATA>タイトル:『ぼくと1ルピーの神様』(文庫)出版社:ランダムハウス講談社著者:ヴィカス・スワラップ価格:840円(税込)※2/20発売予定 |
本書はそんな衝撃的な文章で始まる。主人公は、ラム・ムハンマド・トーマス。貧しいウェイターだ。孤児で学校には通っていない。本も読んだことがない。警察はインチキだろうと責めるが、彼は答えを知っていた。なぜか? ラムは弁護士のスミタに、そのわけを語っていく。
彼は運命のいたずらで、ラム(ヒンズー教)、ムハンマド(イスラム教)、トーマス(キリスト教)と、3つの宗教が合体した名前をつけられ、過酷な環境でサバイバルしてきた。18歳にして豊富すぎる人生経験のなかに、クイズの解答が隠されていたのだ。
映画館で遭遇した痴漢の正体、列車強盗にあったときの顛末、住み込みで働いていた家の秘密……。さまざまな出来事とクイズがどうつながるか想像しながら読んでいくと、何度も意表を突かれる。次々と襲いかかる危機を切り抜けるラムの機転と勇気も痛快だ。
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