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第139回直木賞候補作その3

第139回直木賞の候補作、井上荒野『切羽へ』と荻原浩『愛しの座敷わらし』をご紹介! 2冊とも地方の小さな町が舞台になっているが、まったくテイストは異なる。その内容とは?

石井 千湖

執筆者:石井 千湖

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第139回直木賞の候補作、井上荒野『切羽へ』と荻原浩『愛しの座敷わらし』をご紹介! 2冊とも地方の小さな町が舞台になっているが、まったくテイストは異なる。その内容とは?

井上荒野『切羽へ』

切羽へ
<DATA>タイトル:『切羽へ』出版社:新潮社著者:井上荒野価格:1,575円(税込)
明け方、夫に抱かれた。

という一文で本書は始まる。舞台は長崎県にある島。かつて大きな産業が栄え、そして衰退したところで、廃墟が多い。主人公の麻生セイは、小学校の養護教諭。小さな丘のてっぺんに建っている家に、画家の夫とふたりで暮らしている。ある年の3月、セイの勤める学校に東京から新任の男性教師・石和聡がやってくる。

夫婦関係は良好。性的にも満たされているのに、セイは射るような目をした石和に惹かれていく。石和も、セイに対して不穏な態度をしめす。最後に彼らがいたる“切羽(きりは)”とは? 大人の男女の秘めた激情が、もうちょっとであふれ出してしまうギリギリのところを描いた恋愛小説。

前回候補になった『ベーコン』同様、食べ物の描写も読みどころ。特に石和が作る筍汁はおいしそうだ。

次ページでは荻原浩『愛しの座敷わらし』を紹介。

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