8月 避暑地の思い出
<DATA>タイトル:『猫と庄造と二人のおんな』出版社:新潮社著者:谷崎潤一郎価格:340円(税込) |
福子さんどうぞゆるして下さいこの手紙雪ちゃんの名借りましたけどほんとうは雪ちゃんではありません、そう云うたら無論貴女は私が誰かお分かりになったでしょうね、いえいえ貴女はこの手紙の封切って開けたしゅん間「さてはあの女か」ともうちゃんとお気がつきになるでしょう、
引用部分のあともまだまだ続く。冒頭の一文がなんと9行もあるのだが、流れるような語り口が病みつきになる『猫と庄造と二人のおんな』。猫を溺愛する男と2人の女の奇妙な三角関係を描く。庄造の愛猫・リリーは鼈甲(べっこう)のような毛色のきれいな猫。仕草も可愛い。
リリーを前の妻に譲って、庄造夫妻は紅葉を見に有馬温泉へ行く。恋人時代に来たときは夏で、楽しかったことを思い出す。谷崎にとっても有馬での避暑は記憶に残るものだったようだ(※参照サイト)。
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タイトル:『猫と庄造と二人のおんな』
出版社:新潮社
著者:谷崎潤一郎
価格:340円(税込)
谷崎が最初の妻・千代を譲った作家は? 答えは次のページに。