4月 お金はないけど優雅な旅
<DATA>タイトル:『阿房列車―内田百けん集成〈1〉』出版社:筑摩書房著者:内田百けん価格:1,155 円(税込) |
阿房と云うのは、人の思わくに調子を合わせてそう云うだけの話で、自分で勿論阿房などとは思っていない。用事がなければどこへも行ってはいけないと云うわけはない。なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来ようと思う。
という文章で始まる。用事だけではなく金もない。それなのに一等車に乗る。旅費を借りようとするときの言い方が可笑しい。借金の依頼をするのに、妙に優雅なのだ。この時期読むなら最後に収録されている「春光山陽特別阿房列車」がぴったり。
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タイトル:『阿房列車―内田百けん集成〈1〉』
出版社:東京創元社
著者:内田百けん
価格:693円(税込)
内田百けんの師で1000円紙幣の肖像にもなったことがある文豪は? 答えは次のページに。