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2008年、品格を読書で育てる12ヶ月(10ページ目)

現代のベストセラー作家の作品から、不朽の名作まで。小説で季節感を味わい、1年たって気がついたら品格も育っている(といいなー)という欲ばりな読書計画です!

石井 千湖

執筆者:石井 千湖

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10月 滅びの美を究める

画像(C)新潮社
<DATA>タイトル:『斜陽』出版社:新潮社著者:太宰治価格:340円(税込)
芥川賞がどうしてもほしかった太宰治は選考委員の佐藤春夫と川端康成に授賞を懇願。2人は大いに困惑した。太宰は結局、受賞を逃す。佐藤春夫はその事件をもとにして『芥川賞』という小説を書いた。よっぽどうんざりしたんだろう。

朝、食堂でスウプを一さじ、すっと吸ってお母さまが、「あ」と幽かな叫び声をお挙げになった。

という一文で始まる『斜陽』は、戦後に没落した貴族の生活を綴る。語り手のかず子の母は、当時でも絶滅危惧種だったほんものの貴婦人。スウプはさじをヒラリと舞わせながら飲む。お母さまの行動でなんてったってすごいのは、秋の月見の後にやったあること。普通の人だったらとんでもなく下品だが、お母さまだと不思議と可愛く見える。

<DATA>
タイトル:『斜陽』
出版社:新潮社
著者:太宰治
価格:340円(税込)

太宰の作品について、本人に面と向かって嫌いといった作家は? 答えは次のページに。

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