■自分ではどうしようないことばかり、毎日同じことの繰り返し。ああ、八方塞がり・・・そんな症状にじんわり効きます!

 そう、後半を読み進むにつれ、じわじわと、その味が染みてくる。
 
 前半にあたるこの2作品が、どちらかというと、主人公がミステリー作品における探偵役的な役割を担っている作品だとすれば、『おしまい予言』以降は、「終りの見える青年」武田くんの登場とともに、主人公自身の物語になっていく。「終末」を予言するというのはカルトな宗教にはお決まりのことで、本作の武田くんも、登場した当初は、ちょっぴり異様な雰囲気をまとっている。もっとも、関西弁の彼には、切迫感といったものは皆無なのだが、そのノホホンな個性と、常人にはない能力の組み合わせが、主人公をかなり戸惑わせるのだ。だって、「終りが見える」って、それって・・・というわけだ。
 だが、物語が進むにつれ、主人公と同様、読む者は、気づく。私たちが生きているこの世界の内にある「終り」の意味を・・・。これ以上書いてしまうと、いわゆる「ネタばれ」なので、このあたりでとめるが、後半の作品は、言ってみれば、主人公の気づきと旅立ちの物語となっている。

 帯に「読めば元気がでるかも」と謳われていたが、そこまで積極的な感じじゃなく、「じんわり効く」作品。
 適応症状は、「自分の力ではどうしようないように思えるできごとに右往左往している」「毎日同じことの繰り返し」「ああ、私の人生、けっこう、八方塞がり」・・・
 たしかに、自分の力じゃどうにもならなことだらけだけど、ドラマみたいにステキな出来事が降ってくるわけでもないけれど、そんな日々の中で、他人と出逢い、その出逢いが生み出す、「星の力」以上に神秘的な「力」に包まれ、昨日と同じように見えても少しずつ違う今日を生きていることが、しみじみ愛しくなってくる、そんな作品である。

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