書籍・雑誌/話題の本関連情報

『バッテリー』のあさのあつこ、初のミステリー 『透明な旅路と(2ページ目)

『バッテリー』の文庫化で、人気拡大中のあさのあつが、モダンミステリーに挑む!ゆきずりの女を殺し、逃亡する男の前に現れた不思議な少年と幼女。奇妙な道行きの果てに、男が見たものとは?

執筆者:梅村 千恵

■人が人を殺すとは?罪と罰の間に横たわるものとは?赦しがあるとすれば、与えるのは?普遍的な命題に、物語作家として挑戦する

 人が人を殺すということは、どういうことか、という命題である。本作で、著者は、殺人の理由や背景のみの説明にページを費やさない。むしろ、「殺人」という罪の本質に物語り作家として迫ろうとしている。罪と罰の間に横たわるものは、何なのか、罪が赦されるとしたら、赦すのは、誰なのだろうか。
 明確な答えは、本作の中で提示されない。だが、答えを求めるという思考の彷徨が、重要な骨格として物語を支えている。そして、ラスト近く、主人公の殺人の実相が明らかになった時の白兎の「罪は罪だ」という言葉が、読む者を深く考えこませずにはいられない。

 『バッテリー』もそうだが、本作も、著者の描写力は、やはり、手練れのそれである。言葉のひとつひとつが、選びぬかれ、研がれており、心地よい緊迫感をもって読み進めることができる。こんな書き手を、十代だけが独占していたなんて・・・と瞠目させられる一作である。
この本を買いたい!


児童文学者としても高い評価を受けている著者。子どもの本を子どもだけに独占させておくのって、けっこう、もったいないことかも。だから、「子どもと一緒に本を楽しむ」で情報チェック!

◆ついに完結してしまった『バッテリー』。「子どもの本」「スポ根」なんて先入観は、一度読んだら絶対フっとぶ!一足お先に、ハマってしまったファンのサイトをピックアップ!

『バッテリー応援団』には、あさのあつこさんのインタビューが。

人物ランキングなど交流ページが楽しい『バッテリー同盟』には、WEBドラマなども。

『バッテリーファンサイト 白玉』の人物紹介は大充実!基礎知識をバッチリ仕入れられます。
【編集部おすすめの購入サイト】
楽天市場で書籍を見るAmazon で小説を見る
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます