『Dr.コトー診療所』1~9巻
山田貴敏 小学館ヤングサンデー・コミックス 各505円
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■吉岡秀隆主演、主題歌は、中島みゆき。泣かせの体制、完璧!離島医療ドラマ
ドラマの最終回も気になるところだが、もうTV界では夏が始まっている。
『ブラックジャックによろしく』『動物のお医者さん』『きみはペット』『ホットマン』など、コミックを原作とするドラマが目白押しだった前シーズンに比較するとオリジナルドラマが多い2003年夏ドラマだが、それでも、ありました、人気コミックを原作とするドラマが。
まずは、コミック発の感動系TVドラマの定番となるか、医者もの、『Dr.コトー診療所』(フジテレビ系列 木曜22:00~)。
大学病院が舞台だった『ブラックジャックによろしく』に対し、こちらは離島の診療所が舞台。本土から船で6時間かかる孤島・古志木島(原作は、鹿児島県の西側にある甑島=こしきじまがモデルになっている)に一人の医師が赴任する。
その名は、五島健助。東京の大学病院で「天才外科医」として鳴らした健助は、満足な医療設備もない診療所に驚く。「急患のオペが入ったらどうするんだ!?」。そんな健助の問いに、看護婦の星野彩佳いわく「ここは、離島の診療所。ここでやれることだけやって、あとは本土の病院に任せるだけ」――。だが、健助は・・・。
健助を演じるのは、吉岡秀隆。彩佳には、柴崎コウ。原作にはない居酒屋の女将役の大塚寧々、主人公の元・恋人役の石田ゆり子が吉岡クンを惑わす(多分)。
離島の医師、しかもそれを演じるのは、あの吉岡クン、しかも、主題歌が中島みゆき、とくれば、感動路線まっしぐら!人間賛歌、命賛歌にあふれた「感動の離島医療物語」である原作のイメージを大きく裏切る心配はないだろう。
■ヒューマンであると同時に「天才外科医」。主人公の凄みをどう演じるかに興味
ただし、原作は「都会からやってきた医師と素朴な島民との触れ合い」のみをではなく、不完全な状況下で難病に立ち向かう主人公の腕の冴えも読ませどころの一つで、離島医師ものにしては、オペのシーンも多い。
船に弱くて、暑さにも弱い、冷房にも弱い、第一話で息子を助けられたマッチョな猟師(TVドラマでは時任三郎)いわく「あれで腕が悪かったら最高に情けねえ人間だな」の健助。普段はノホホンだが、当然、腕は悪くなく、手術室では果断なるプロフェッショナルとしての顔を見せる。
吉岡クンが、「普段はノホホン」「情けねえ人間」はともかく、「天才外科医」としての凄みをどのあたりまで出せるのか、なかなか興味深い。
原作コミックは、単行本として9巻まで発行されている。ストーリーの本筋とはまったく関係ないが、島民が吉岡クンの大出世『北の国から』及びご本人の結婚を噂するちっちゃなシーンあり。TVドラマでもぜひ使ってほしいものだ。同じフジテレビ系のドラマだし。
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この作品についてもう少し詳しく知りたい人は「ヤンサンWEB『Dr.コトー診療所』ドラマ化決定」ページへ。
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