『スポーツイベントの経済学』
原田宗彦
平凡社新書
740円
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■W杯が去った今こそ。「余熱」を「余熱」で終わらせないために
W杯、オリンピックに代表されるメガ・スポーツイベントと経済――この取り合わせから、最初に連想される言葉は、「経済効果」であろう。正負の誤算も含めて、巷では、何かとその額なり規模が喧伝されているのではないだろうか。
本書においても、メガ・スポーツイベントが都市経済、あるいは国家経済に及ぼす影の力についての考察に少なからずページが割かれている。W杯がオリンピック以上にその「経済効果」が取りざたされる理由などについても、明瞭に説明されていて、タイムリーで興味深い。
しかし、本書における主張の中心点は、主にイベント開催中にもたらされた「経済効果」にあるのではない。むしろ、本書が論じるのは、イベント終了後の話。そう、メガ・イベントが遺した「遺産」を活かすのかが、主要なテーマなのである。
「イベントの遺産」--そう聞いてあなたはまず何を思い浮かべるだろうか?