昭和銭湯伝
イメージイラスト「昭和銭湯伝」
(C)Koji Shiga
もう一度観たいベスト5シリーズも70年代、60年代、80年代、90年代と続けてきましたが、シリーズの最後はガイドもリアルタイムには観ることの出来なかった時代の1950年代をお届けします。最も映画が繁栄した50年代作品を観るには、もっぱらリバイバル、名画座、テレビやその後に登場するビデオ、LD、DVDということになるので、タイムリーに観た60代以上の方とは好みが違ってくるのかもわかりませんが、ここにあげる作品は映画史に燦然と輝く名作映画ばかりだと自負もありますので、機会があれば是非ご覧下さい。

50年代:日本映画のベスト5

巨人と玩具
『巨人と玩具』
第5位::『巨人と玩具』
(1958年/日本映画/上映時間:96min/監督:増村保造/出演:川口浩、野添ひとみ、高松英郎、小野道子)
・マスコミ界を痛烈にカリカチュアライズした、開高健の同名小説の映画化です。ある製薬会社が虫歯だらけの少女をアイドルに仕立て上げてゆくのです。そして競争相手の製菓会社が絡み騒動が勃発……。社会の一つの歯車と化した製薬会社の課長の姿は、『モダンタイムス』のチャップリンのようにまるでロボット!現代社会・会社組織の歪曲を鋭くついた逸品です。

雨月物語
『雨月物語』
第4位:『雨月物語』
(1953年/日本映画/上映時間:97min/監督:溝口健二/出演:京マチ子、水戸光子、田中絹代、森雅之)
・舞台は近江国と京に設定されています。戦国の世、貧しい陶工・源十郎が若狭姫という女性と知り合い、生活をともにするようになります。だが美しい若狭姫の正体は死霊だったのです。それを知った源十郎は若狭姫を捨てて故郷に逃げますが、彼女の怨念は執拗に追いすがるのです……。「雨月物語」をベースに、川口松太郎らが脚色。ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞しました。

二十四の瞳
『二十四の瞳』
第3位:『二十四の瞳』
(1954年/日本映画/上映時間:156min/監督:木下惠介/出演:高峰秀子、天本英世、夏川静江、笠智衆、浦辺粂子)
・小豆島を舞台に女性教師と生徒たちの交流の物語です。当時、洋装で自転車に乗って分校にきた新人教師にみんながびっくり(時代ですね)。前半は新任先生と生徒の心の触れ合いを描き、後半には戦争が影を落とし、当時の生徒たちはそれぞれの人生を生きています。そんな戦後のある日のこと、昔の教え子とたちと一同に会するのです。風景描写が素晴らしい一昨年デジタルリマスター版でリバイバルされた逸品です。

浮雲
『浮雲』
DVD発売中 ¥4,725(税込)発売・販売元:東宝
第2位:『浮雲』
(1955年/日本映画/上映時間:124min/監督:成瀬巳喜男/出演:高峰秀子、森雅之、中北千枝子、岡田茉莉子)
・インドシナで知り合った男に妻がいることを知った女は、とめどなくみじめな生活に落ちてゆきながらも、いつまでも男を追いかけてゆくのです。男はどこまでも無気力で成り行きのままにながされてゆく、わびしい男女の姿をこれでもかと描出する成瀬巳喜男監督の代表作であり「ある愛のカタチ」を見せつける傑作です。

七人の侍
『七人の侍』
DVD発売中  ¥5,040(税l込)発売・販売元:東宝
第1位:『七人の侍』
(1954年/日本映画/上映時間:207min/監督:黒澤明/出演:三船敏郎、志村喬、津島恵子、藤原釜足、加東大介、木村功、千秋実、宮口精二)
・一監督一作と思い大いに悩んだ結果が、多くの方の予想通り本作としましたが、『生きる』、『羅生門』と入れ替えてもいいのです。本作は大当たりし、ジョン・スタージェス監督の『荒野の七人』の土台となったことは有名です。侍が野盗に苦しむ村を救うために腕のたつ六人を集め、来襲する敵と立ち向かうという痛快娯楽アクション映画です。七人の侍の演技の素晴らしさもさることながら、戦い終わったあとの農民の微妙な態度など皮肉った一面にも触れていることがうまいです。総合的に過去の日本映画のNo.1作品と言えるかもしれません。