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席亭に聞く:鈴本演芸場編/その1(2ページ目)

今年で開席150年となる鈴本演芸場。この都内で最も歴史がある定席の六代目席亭である鈴木寧氏に寄席の魅力と、普段なかなか知ることのできない席亭のお仕事について伺ってきました。

執筆者:清水 篤司

現在の落語ブームの火付け役は林家正蔵(こぶチャン)

こぶ平時代の苦悩と林家正蔵襲名の思いが詰まった、噺家・林家正蔵の全てが分かる一冊。
ガイドここ数年、落語を中心とした古典芸能が盛り上がっています。このブームと呼ばれる現象の要因はなんだと思いますか?

鈴木席亭:一番、大きかったのは一昨年の九代目・林家正蔵襲名だと思います。タレントのこぶチャン(林家こぶ平)が襲名するので各種メディア・マスコミが大きく取り上げましたね。その影響で、初めて落語を観に行った方が増えたと思います。

そして、実際にその落語を見て「面白い」と感じたのでしょう。最近の人たちは面白いものに敏感ですから、若い人たちを中心にブームのような現象を巻き起こしているのだと思います。

また、噺家さんが地方に出向いて、長年地道に落語を公演し続けていたことにより、落語というものが日本全国に広く認知されたことも重要なポイントだと思います。

ガイド:なるほど、メディアや大きなイベント(襲名披露)の効果だけでなく、そういった地道な活動も大きな要因になっていて、一過性のブームというより改めて落語が見直されてきているのですね。

鈴木席亭:それと、「寄席に行く」ことが東京観光の一つとして増加傾向にあるというのも一つの要因かと思います。

ガイド:なるほど。その影響で、ここ数年は、お客さんの数も増えていますか?

時代の流れに合わせる

人気噺家が出演する時や特別興行には長い列が並ぶ、鈴本演芸前。
鈴木席亭:ええ、確かに増えています。しかし、ここ最近の傾向として、昼席はそこそこ埋まっているんですが、夜席が少なくなっているんですよ。

ガイド:それは、どうしてですか?

鈴木席亭:一つの大きな要因は街の飲食店の営業時間です。この近辺(上野界隈)の飲食店のラストオーダーはどこも22:00くらいなんです。 そうなると、以前の終演時刻以後(21:00以降)にゆっくり食事する処がほとんどないんですよ。

また、お客さんも各地遠方から来てくださる方が増えましたから、終演時間が遅くなると、帰りの交通機関に都合が悪くなったりしますからね。当演芸場も現在終了時間は20:40頃に変更しました。他の定席さんも以前よりは終演時刻(21:00前)は早まっていると思います。

ガイド:なるほど、そういった時代の流れも寄席の開催時間に反映されているんですね。

鈴木席亭:また、昼・夜席ともに開催時間も約4時間なんですが、「開演からずっと観るには長すぎるので短くしてほしい」というご意見もいただきます。そうはいっても、開催時間を短くすると芸人さんの出演数を減らすことになりますからね。

寄席は他のエンターテイメントと違って、いつ入退場しても内容が分からなくなることありません。マナーさえ気をつけていただければ、いつでも入退場は自由ですので、お客様の都合で出入りしていただければと思っています。

【関連リンク】
鈴本演芸場ホームページ

インタビューは「席亭に聞く:鈴本演芸場編/その2」に続きます。
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