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引退を惜しまれる三遊亭円楽とは?(3ページ目)

2007年2月25日の高座を最後に現役噺家の引退を発表した三遊亭円楽。今回はその後も引退を惜しむ声が後を絶たない三遊亭円楽にスポットを当てて彼の噺家人生を検証したいと思います。

執筆者:清水 篤司

笑点に復帰

“笑点”の放送40周年記念DVDボックス三遊亭円楽をはじめ若き日の笑点出演者の姿を映像で楽しめます。
1983年、円楽は当時の「笑点」の司会であった三波伸介の急死により、臨時の司会者として番組に復帰し、そままま「笑点・4代目司会者」となります。

復帰当初は前任の三波伸介が確立したコメディタッチの大喜利スタイルを継承することも、独自の円楽スタイルを確立することもできず、さらに番組時間も短縮され、番組の顔である司会者としてかなり苦労したようです。

しかし思考錯誤の末、現在の老若男女だれでも楽しめる普遍的で落語色の強い円楽スタイルを確立し、2005年10月13日に脳梗塞で倒れるまで歴代司会者としては最長寿記録を更新することになります。

寄席「若竹」の失敗

1985年には寄席に出ることができない、自分の弟子達を憂い、自らの私財を投げ打ち円楽一門専属の寄席「若竹」を建築します。しかし、ほどなく経営難で閉鎖に陥り、莫大な借金を抱えることになります。

その莫大な借金を返済するためには地方の落語会や講演会などを数多くこなさなければならなくなります。そこで円楽は一門を半ばプロダクション化し地方興行や各種イベントの営業を積極的に行い、多くの地方興行を開催していきます。この辺の円楽の手腕と先見の明はさすがとしかいいようがありません。

同時に弟子の育成も怠らず、数多くの優秀な噺家(弟子は30人以上!)を一門から輩出しています。主な弟子に、笑点でピンクの着物でおなじみ三遊亭好楽 、同じく笑点に出演中の腹黒キャラ・三遊亭楽太郎がいます。

円熟の円楽

その後は、みなさんがよくご存知の通り、毎週日曜日夕方に始まる国民的長寿番組「笑点」で大きな声でガハハハと笑いながら「大喜利」の司会者として長く活躍することとなります。

また、噺家としても精力的に高座に出演し、歯切れ良いしゃべりと自身の落語の研鑽により様々な賞を受賞していきます。

■主な受賞歴
1984年:第4回 花王名人大賞 名人賞
1985年:第5回 花王名人大賞 功労賞
1985年:放送特別功労賞
1986年:浅草「スターの広場」手型顕彰
1988年:第43回 文化庁芸術祭 演芸部門 芸術祭賞
2006年:第23回 浅草芸能大賞 大賞

多くの弟子達も順調に育ち、自身の芸に円熟味が増し、波乱万丈の人生も落ち着きを見せてきた矢先の2005年に脳梗塞の症状が現れたため入院し「笑点」を一時休業しますが体調が万全に戻るには時間がかかると判断し2006年5月14日「笑点」放送開始40周年特番を最後に正式に番組を引退します。

そして、自身の進退をかけた2007年2月25日の国立名人会で「芝浜」を演じた後の記者会見で「もうちょっとはっきりしゃべれると思ったら、だめでした。こんな噺をお客様の前でやるのは申し訳ない」「今後よくなるということはないと思う」語り、噺家として現役引退を表明しました。

まさに波乱万丈といえる噺家人生、落語界の話題の中心には常に円楽の存在がありました。引退したとはいえ、今後もご意見番として落語界を暖かくも厳しい目で見守ってもらいたいものです。

三遊亭円楽の楽しみ方

70~80年代のはつらつとした高座を中心に収録された豪華4枚組DVD-BOX。映像で三遊亭円楽の高座をお楽しみください
今のところ、三遊亭円楽の高座を生で聴く機会は永遠になくなりました(復帰を心から願いますが)。

しかし、一番脂の乗り切った頃の円楽の高座がCDやDVDとして数多く発売されてますので、この引退騒動で三遊亭円楽に興味をもたれた方は笑点の司会の円楽とは違う、噺家・三遊亭円楽の落語を味わってみてください。きっと、なぜ? 世間がこれだけ引退を惜しむ理由がわかると思います。

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