『スター・トレック』はこうして撮影された?!
「何もかもグリーン・スクリーンとCGにはしたくなかった」常に想像力につき動かされているJ.J.エイブラムス監督はこう述べた。「『スター・トレック』では、我々にはほとんど想像できないことが起こりますから、いつでもできるだけリアルな感じ、感情に訴え、しかも自然に見えるものを望みました。何ももかもグリーン・スクリーンとCGにはしたくなかったんです」
©2008 Paramount Pictures. Star Trek and Related Marks and Logos are Trademarks of CBS Studio Inc. All Rights Reserved.
そのためロケ撮影を敢行しています。地球から何万光年も離れた宇宙を再現する大規模な撮影は、ほとんどが南カリフォルニアで行われています。しかも、ステージ上ではなく、主にロケで成り立つ映像なのです。ビール工場をエンジンルームに。野球場の駐車場を荒涼たる氷に閉ざされた惑星に変換させるため、とてつもない大改造を手がけたスタッフに拍手!
戦艦のキャプテンがそうであるように、エイブラムス監督は自身が信頼している人材をスタッフにしています。撮影監督のダン・ミンデル(『M:i-III』から)、編集のメアリー・ジョー・マーキー(『M:i-III』と「エイリアス」から)。プロダクション・デザイナーのスコット・チャンブリス(『M:i-III』と「エイリアス」)。そしてチームの新人ながらベテラン衣装デザイナーのマイケル・カプラン(『アイ・アム・レジェンド』、『マイアミ・バイス』、『Mr. & Mrs. スミス』)も加わります。さらに『M:i-III』以来エイブラムス組常連の「インダストリアル・ライト&マジック」ロジャー・ガイエットも。彼は『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズや『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』、そして『ハリー・ポッター』シリーズの一部など、ここ数年の最大アドベンチャー映画で視覚効果スーパーバイザーをつとめている逸材。また、ガイエットは第二班監督も務めているのです。
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■デルタ・ヴェガの氷に閉ざされた世界の撮影について
極寒の氷の惑星・デルタ・ヴェガはアイスランドへ行って撮影をするつもりだった。が、太陽の照り付ける南カリフォルニアで、荒涼たる、氷に覆われた屋外の世界を作り上げる方法を考え出すことに挑む。それは最も適切と思えぬ場所・ドジャー・スタジアムの駐車場。そこには惑星全部を作り上げるのに十分なスペースがあり。しかも、ロサンゼルスの街の高台に位置するため、常に地平線が見えました。およそ、15メートル×38メートルの駐車場の一角に生物分解性の紙製品で出来た人工雪を敷き詰め、ぎざぎざの断崖の頂を用意している。
■USSエンタープライズ―“スペース・ジャンプ”
ドジャー・スタジアムには全く違う外観を持った、異質の環境が建設された。空中から吊るされたドリリング・プラットフォームだ。これは、USSエンタープライズの初の大きなミッションで活躍する。クルーは、ひどく危険な状況のなかで勇敢な“スペース・ジャンプ”をするのだ。「大変だったのは、人々が実際にパラシュートで降下したように見せること。まっさかさまに突進して、その後でパラシュートに引っ張られたかのように勢いよく正しい位置に戻るところでした」とバート・ダルトンは語る。
■ビール工場がエンジンルームに
USSエンタープライズの中でもっとも愛されながらも、めったに見られない場所の一つはエンジンルームだ。そこでは、戦艦がどんな攻撃を受けようと宙に浮いていられるように、マジックを駆使しているチーフ・エンジニアがいる。冷却パイプの内部に転送されてしまうスコッティが振り回されるところを撮影するため、プロダクションチームは、もう一つの意外な場所に新しい基地をカリフォルニアのヴァン・ナイにあるビール工場に用意した。その工場の内部にあった巨大なタンクとステンレス製のチューブは、戦艦のぴかぴかの内部としてぴったりだった。
「ハイテクの宇宙の映画を作るのに、特殊効果はできるだけオーガニックなものにし、しかもアナログ映像を使いました。本作へのアプローチは「観客をカメラとして考え、カメラは一時もじっとしていないので、アドベンチャーが継続している感覚を生み出します。それは、家から何万光年も離れたUSSエンタープライズに乗船しているかのごとく体感できる世界」。
そんな『スター・トレック』は是非大画面の劇場での鑑賞をオススメします。
詳しくは前のページで。