◆二宮さんのアイデア◆ 二宮和也:(渡辺)謙さんがおっしゃったように、台本に書いてないことなど急にやりたくなってしまいまして、そいうことを「やっていいの?」と聞いたら、クリントは「いいんだよ」って、ずっと最後まで味方でいてくれたから、わがままに最後までやらせてもらいました。 (ここで珍しくクリントが話し出す)クリント・イーストウッド:自身の若い頃は台本に書いていないことをやるのが好きでした。経験から俳優側の、また監督側の立場を分かっているつもりです。俳優側も「こういうことをやりたい、こういうことはやりたくない」という意見やアイデアを持っているものです。だから俳優には、あらゆる意味で貢献していただきたいと思うんです。アイデアがでたとき、はじめから捨ててしまうのではなく、まず試してみる。それは俳優の感や本能を信じているからです。 二宮和也:(具体的にどのようなアイデアを?)清水(=加瀬)に千人針を返すことです。ひとりの兵士が母親へ宛てる手紙。そのつながりはあっても、母親からのつながりがない。アイデアを書いたら、スタッフの人がすぐに千人針をもってきてくれて、すぐ試させてくれました。
◆伊原さんのアイデア◆ 伊原剛志:(アイデアについて)撮影の3日ぐらい前にクリントに「特殊メイクで目を」と話したら。すぐにクリントが「それは『ミリオンダラー・ベイビー』でモーガン・フリーマンがやった」って「分かった、すぐ準備するから」と用意してくれて。すごいんですね、ハリウッドって。眼科医で検査を受けると、そこにデザイナーが常駐していまして、すぐにコンタクトを持ってきて「こんなの(直径で5センチぐらい?を手で示し)ボクの目にはいるのかよ」って(笑)。ボクの眼の写真を撮って中心の色を何色にするか、いろんな色を作って、クリントが「これっ」て指定して半日ぐらいで出来たんですね。それ、やっぱり日本になかったことなので、やりたいな(笑)って。 クリント・イーストウッド:(笑顔で)またまた、私のアイデアになりました。 ―Q記者:『星条旗』『硫黄島』と対とさせるための音の付け方などありました。それで西郷の隣に横たわったのはドク(ライアン・フィリップ)ですか? クリント・イーストウッド:私の秘書が「ライアン・フィリップに似ているけど」って言ってましたよ。本来なら2作を橋渡しするための計画通りだと答えるべきなんですが……エキストラの人で、偶然似ていたのです。今後、聞かれた時は計画通りだと答えようと思います(笑)。 俳優に求めるのが「正直」なら、監督のお答えも「正直」なのでした。こういうお話が聞けると、映画を見ながら「あ、ここは」とか思えて、また楽しめますよね。会見でクリント・イーストウッド監督の懐の深さを感じました。映画には「善悪ではない戦争」が描かれています。10代の青年たちがどのような思いで赴いていたのか、私たちの今があるのは、まさに先人のお陰なのだと感じました。鑑賞後、予告編などで栗林中将の「島を護ることに意義がある」っていう言葉を聞くだけで、涙が浮かんできます。日本人として必見の作品だと思います。 |
『硫黄島からの手紙』
[Letters from Iwo Jima] |
映画・来日・ニュース・イベント
2007年お正月公開の映画カレンダー
『硫黄島からの手紙』の上映時間を調べる
<硫黄島プロジェクト>記事トップへ | 『映画』トップページへ戻る |