『SPIRIT』来日会見-ジェット・リー&獅童ら-

[2006/2/28]

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3月18日[土]～公開の映画『SPIRIT』（配給：ワーナー・ブラザース映画）のPRでジェット・リー、ロニー・ユー監督が来日し、中村獅童、原田眞人とともに都内のホテルでの記者会見に登壇しました。本作は精武体育界（※現在は「精武体育総会」）を築いた＜巧夫皇帝＞フォ・ユァンジア[霍元甲]という実在の人物の半生を描いています。同氏は世界中に広がる中国武術の創始者にして、ブルース・リーの原点ともいえる人物なのです。

劇中、闘技場シーンで登場する太鼓―。この会見のために山西降州鼓藝術團の皆さんは来日され、素晴らしい演奏を披露(写真は開始前の様子)。

日本での年間自殺者が7年間連続で3万人を超える今。中国では年間自殺者が（ナント!!）28万人を超えているそうです。本作の製作の発端はソコにありました。「自分を信じることを忘れてしまっているのでは？」と心を痛め、あるメッセージを込めてつくられたのです。

武術は、肉体の鍛錬ではなく、精神の鍛錬

監督のロニー・ユーはこう語ります。プロデューサーから『今、一緒に仕事をしたい中国の俳優は？』と聞かれ『ジェット・リー』と即答したところ、ちょうどジェット・リー主演の本作の企画があり、進んだ、そう。会見中はすべて英語で話され「16ヶ月かけて完成した映画です。単なるアクション映画ではなく、武術作品でありながら、暴力のむなしさをテーマにしております。相手を殴り倒すのではなく、相手の命を奪わぬように闘う主人公の姿―それを見た若い人たちが『ひとまわり大きくなった自分』を感じてくれたらと思っています」。武術は、暴力ではなく、平和を促す修練であることが分かりやすく描かれ、心に訴えかけてきます。

ジェット・リーも「武術の武の字を分解すると「戈（ほこ＝弓の幹）を止める」の意味になります。今回は平和に対する期待を込めております。キャスティングはヨーロッパ等を周りました。獅童さんは8歳の頃からこういった世界にいて、プロフェッショナルな態度を理解している方だと。精神的な世界を理解されていることが大切でした」。

「幸せは常に自分自身の心の中にある。財産があれば幸せになるのか？といった関門を越えられるか。フォ・ユァンジア[霍元甲]の若い頃は、強靭で、傲慢。でも自身に負けた。決して相手を倒す事ではなく、自分と闘って、自分に勝つ。すると本当に幸せがやってくると思います」

『ラストサムライ』での悪役に続く原田眞人。外見、衣装は、ほぼ『ラスト～』と同じだ。「違いはめがねをかけていることぐらい」。「中国の映画に出演できてあり難いです。同時に中国には行けなくなっちゃたかな、という懼れもあります」と複雑な心境を明かし「訪中する時は、ジェット・リーさんの顔写真プリントのTシャツと、CM出演のスニーカーを履いて行きます（笑）」と本音とユーモアを交えていた。

監督から「クールだ」と絶賛された中村獅童は「出演の話が着てもすぐに返事ができませんでした。お断りするつもりでしたが『精神世界、内面を表現して欲しい』との言葉から決めました。最大のライバルは自分自身―大きな壁にぶち当たった時、乗り越えようとする強い自分、逃げようとする自分―」そういったテーマを突き詰めたかったそうです。「ジェット・リーさんとの共演も実感がないまま撮影が終わり、完成作を見て改めて認識でき…」と大興奮の様子。「いい刺激になりました」と締めくくりました。

親日家ジェット・リーが日本で発見したお気に入りブランド

「小柄な体型から欧米ブランドは合わないことが多い」と語るジェット・リー。今回の来日では、この記者会見にあわせて（着用の）スーツを購入しに出かけたという。偶然入ったブティック「MASATOMO」で、デザイナーと遭遇。自身の『ファンだったんです！』の言葉を機に交流を深めた、とか。そういったことも日本が好きな理由だそうです。

最後の武術映画宣言?!

敵と闘うことを超え、自分にも勝った武術家を演じてしまいました。
武術の道で、その段階までいってしまったら、
もう、その上にあるのは、愛に包まれた静かな世界。
そんな武術映画は成り立たない。
だから、この映画を私の最後の武術映画にします
―ジェット・リー―

⇒『SPIRIT』原題：[霍元甲] [無敵：FEARLESS]
監督：ロニー・ユー
出演：ジェット・リー、中村獅童、スン・リー、原田眞人、ドン・ヨン、ネイサン・ジョーンズ、コリン・チョウ（特別出演）
公式サイト：http://www.spirit-movie.net/