『TAKESHIS'』 北野武監督に直撃インタビュー
『TAKESHIS'』 北野武監督に直撃インタビューが実現しました。ヴェネチア映画祭でのサプライズ上映で新作の存在を知ったわけだが、実兄の北野大氏も製作を知らなかったというほど徹底して秘密を貫き完成した新作は、内容もサプライズであった。北野マニアにとっては、過去の北野作品から本作との関係を躍起になって探すであろう内容にもなっている。1989年『その男、凶暴につき』で監督デビューしてから、2003年の大ヒット作『座頭市』のあとに次ぐ『TAKESHIS'』。そのジャパン・プレミアが10月20日に東京国際フォーラムで華々しくお披露目された。幸運にも上映前に北野武監督への直撃インタビューに成功しました。 こちらの緊張を察してくださり、爆笑コメントをポンポンと発してくださる監督の優しいお人柄が文字で伝わると良いのですが…。
さて『TAKESHIS'』 では、出演者は2役以上を演じているが、例え出演者が自身の役に疑問を感じても監督に対して『役柄についての質問を絶対しない人』ということで、主な出演者は北野映画の常連を起用している。また、そうすることで秘密を漏らすことなくサプライズ上映に成功したのだろう。「大杉(漣)さんなんか『分かりました。タクシーの運転手ですね』っていって、一言も話しかけてこなかったからね。(岸本)加世子なんて『わたしは何なんですか?観ても一度では分からなかった。二度、三度観なくちゃ』って」と満足げに笑う監督。
『TAKESHIS'』 について
タクシーの運転手から始まったという『TAKESHIS'』 助手席に座っているのは、『座頭市』で子供時代のおせい役だった早乙女太一君―今回は素顔もチラリ。 |
「タクシーの運転手が主役の話でね。それをいじったんだけど…っていうことになってるけど。本当はね、ウソ。全部書き直したんだ。もうほとんど『フラクタル』の内容は残ってない(笑)。タクシーの運転手が出ることと夢をみたってことだけ」。
タイトルについては?
「俺がつけたんじゃなくて…森さん(森昌行プロデューサーのこと)なんだよ。脚本を書いて『これでどうでしょう?』って見せたら『タイトルは『TAKESHIS'』でどうでしょう?』って。タケシズ(=タケシ死す)なんだって。まったくさぁ、プロデューサーが最後にしちゃった(笑)」。
二役について?
「スーパースターの<ビートたけし>は、一般から見た大物スターのイメージだよね。俺自身もそうみられているんだろうな、っていう姿。実際は、もっと<上品>なんだよ。でもな、インタビューだと下品だとバレちゃう(笑)。それに対して<北野>は大物スターが想像した売れない役者のイメージだからね」。
『TAKESHIS'』 のエピソードは実体験に基づく!?
<ビートたけし><北野>の描き方は虚構の部分が大部分なのでしょうが、実体験が盛り込まれていますか?
「例えば、ナポリタンの部分は、砂漠にいて、水がなくて「水・水…」って夢をみたことがある。その前に、食べていたのがナポリタンで枕元にあったんだけど(笑)。(ラーメン屋も実体験?)えっ!? うるさいラーメン屋なんて行かないよ。いくら美味くたって、並ぶのはイヤだよ。でも一度ね、有名店だからって家に呼んだ事がある。そしたらさ、『火力が弱い』とか言うんだよ。もう『いいから作れ!』っていってね(笑)。結局、一日分の売り上げを支払ったんだから、あれは高かったな~」。
<上品>なナポリタンの食べ方は、気を遣って?
「そうね。あれはヨーロッパの人たちがすする音を嫌うでしょ。観客が引いちゃいけないんでね」。
夢といえば、最近ご覧になった悪夢はありますか?
「あるよ。運転手に夢の中で殴られた(笑)。あと、車に乗ってて『おい』って言ったら『うるさいよ!』って高速道路なのに車から降ろされた、とか。実際には、『お迎えに参りました』っていう電話が鳴っていたんだけどね」。
<<ビートたけしは、お抱え運転手つきロールス・ロイスで移動する芸能界の大御所。ある日、局で自分にソックリな北野という男に知り合う。北野はコンビニでアルバイトしながらオーディションに通う売れない役者。そんな彼がビートたけしの世界に引き込まれたことから…。>>
『TAKESHIS'』 |
Interview with "TAKESHIS'" Director TAKESHI KITANO
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