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映画製作者が教える不思議な時間旅行の楽しみ方 映画『エルミタージュ幻想』

90分ワンカット映像が話題の映画『エルミタージュ幻想』。過去と現在が交錯する不思議な旅の楽しみ方を、ロシア側プロデューサーのアンドレイ・デリャービンさんに教えていただきました。

執筆者:名護 末子

映像だけでなく、エルミタージュにまつわるドラマにも注目

アレクサンドル・ソクーロフ監督(c)Alexander BELENKIY
2002年のカンヌ映画祭で観客の度肝を抜いたのは、90分ワンカット・デジタル撮影、しかも世界遺産に指定されている「エルミタージュ美術館」の内部で撮影された映画『エルミタージュ幻想』だった。
華麗な美の迷宮を彷徨うのは、姿は見せず声だけが聞こえる現代の映画監督(声は、この映画の監督アレクサンドル・ソクーロフ)と、19世紀のフランスの外交官。2人に導かれて、私たち観客もエルミタージュの回廊を歩き、観劇しているエカテリーナ大帝や悲劇的な最後を迎えるニコライ2世の家族の晩餐などを覗いている気分になる。ロシアの歴史や貴重な絵画を見ているうちに、ラストの絢爛豪華な舞踏会へと続く。もちろん、ロシアの歴史や美術に詳しくなくても、この映画は楽しめる。でも少し映画のシーンの背景を知っていると、より深く味わうことができるはず。そこで『エルミタージュ幻想』のロシア側プロデューサーのアンドレイ・デリャービンさんに、映画の見どころなどを教えてもらった。


●女王の顔と普通のおばあさんの顔
プロデューサーのアンドレイ・デリャービンさん
エカテリーナ大帝は、エルミタージュの中に豪華な装飾をほどこした自分専用の劇場を作らせたんです。その劇場で、自分で演出したバレエを上演したんですが、それは彼女が種痘をした記念に、ということだったそうです。エカテリーナ時代のロシアのバレエがどんなものだったかを、一般の人々はこの映画で初めて観ることができたのです。



(c)Alexander BELENKIY


バレエの場面で、エカテリーナは「なかなかいいじゃない」と周りのものに言うところがあります。その時の彼女は、まさに女王様、権力そのものなんです。ところが次の瞬間、「トイレに行きたい」と、突然女王の顔から普通の人間に戻っちゃうんですね。たった数秒間でもってサクーロフ監督は、エカテリーナという女性の両極面を見せたところがおもしろいと思います。次のシーンでは、エカテリーナはすっかりおばあさんになっていて、「ハイハイ」をしている孫の様子を見守っている。権力というものはどういうものか、普通の人間とは……、ということを監督が如実に描いているという点で、このシーンは非常に気に入っています。
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