ビクターのこれから
再生を目指すビクター。どんな未来に向かうのか……
JVC・ケンウッド・ホールディングスは、赤字の音楽ソフト事業を手放し、資本を電気電子事業に向けるという「選択と集中」を図ろうしていました。ビクターエンタテインメントの売却資金で、ペンタックスのカメラ事業を買収する計画でしたが、売却の失敗で買収も断念。今後は、ビクターエンタテインメントの再建を目指すということです。
しかし、一旦は売却を検討した事業が従来のままで存続されるはずはなく、人件費削減や新たな売却や合併の検討等、大きな改革が予想されます。
そのような中、今月(12月)1日付で、ビクターエンタテインメントの新社長に、元東芝EMI社長の斉藤正明氏が就任しました。斉藤氏は東芝EMIを洋楽シェア1位に育てた人物。複雑で独特な芸能界をよく知り、実力者である斉藤氏が、どのような方向にビクターを持っていくのか、業界の注目が集まっています。
音楽ソフト業界のこれから
最後に、ある業界関係者の言葉を紹介したいと思います。
「売れなくなったら次のアーティストへというように、最近は音楽が消耗品のように扱われる傾向がある。しかし、音楽は消耗品ではない。長く愛されるアーティストを育てることがレコード会社の使命であり、それにはリスクを背負ってでもの覚悟が必要である。それは、そのレコード会社の利益のみでなく、音楽業界全体のリターン(業界の成長)にもつながるはずだ」。
大きなリターンを得るには、相応のリスクを背負わなければならない。アーティストを育てることも、資産を育てることも、この原則は同じようです。