テクノポップ/フューチャーポップ

近未来対談~大人のための相対性理論(8ページ目)

『ハイファイ新書』がオリコン7位を記録した、ポストYouTube時代のポップ・マエストロ・・・相対性理論について助手、研究生、小悪魔(新キャラ登場)と共に分析してみました。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

ドゥルーズ感

小悪魔:
これはもう本当に天才的としかいいようがないですよね。

あっちへ飛んでこっちへ飛んで、リスナーをひきづりこんで、帰って来れなくさせる。サウンドとの相乗効果で大変なんです、聴いてる方は。「品川ナンバー」とか「るんるん~」の部分でエレクトロサウンドががーっと入って来て、ほんとに巧いなあと思います。

非常に構築されつくしていて、簡単な言葉の組み合わせで、「意味がない」「関連性のない」言葉の組み合わせと思わせといて、その実、哲学的な背景を感じさせます。ドゥルーズ、ガタリあたしを感じる。

歌詞とサウンドがここまで完璧なので、ほんと何も言うことなくて、文化系女子、男子は、わしづかみにされてると思うんです。

先生:
僕、理科系です。

研究生:
ドゥルーズ、ガタリ・・・そりゃ「現代思想」のドゥルーズ特集本を読んで、あっさり挫折した僕には読み取れなかったはずです(涙)。

でも、感覚的な言葉遊びではないのは、なんとなく読み取れると思うんです。言葉が意図的に配置されているのは明らかです。そして何かを語ろうとしているのは、むしろ乱発される固有名詞の「行間」なのではと。歌詞を彩りながら豊かな表情を見せるサウンドは、いろいろと深読みさせる説得力に満ちていますね。

ただし、このような表現を言葉遊びだと混合させるトラップも仕掛けられているように思えます。それはヴォーカルの単なる“フェイク”も歌詞カードには“歌詞”として記載されてたりという、ちょっとしたことなのですけれど。これも確信犯的行為の1つなのかもしれませんが、僕はあくまで一種の「照れ隠し」のようなものだと受けとっています、バンド側にとってはシンプルなことなのではと。
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