テクノポップ/フューチャーポップ

近未来対談~大人のための相対性理論(7ページ目)

『ハイファイ新書』がオリコン7位を記録した、ポストYouTube時代のポップ・マエストロ・・・相対性理論について助手、研究生、小悪魔(新キャラ登場)と共に分析してみました。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

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アラサー世代には無視できない

助手:
「コントレックス~」はカヒミカリィを思春期に経過したアラサー世代には無視できないフレーズだったり、やはりここにも確信犯的な要素を感じます。特に歌詞に特化してみれば、悪意にも近い確信性が見え隠れしているとは思いませんか?って、自信がないから誰かに同意を求めてるんですけどね。 ほら、だって小悪魔がこんなに反応してるでしょ?

小悪魔:
アラサーってばらさないでください!! 30代だと思われる!

ちなみに勿論カヒミカリィを通っていますが、「箱買い」してるってのは芸能人、モデル以外は聞いたことないですよ(笑)。

助手:
僕が高校生の頃は、コントレックスがオサレアイテムでしたけどねえ。そもそも「箱買い」って言葉自体も、もうアレですよね。ビックリマン箱買いみたいな。そういう世代感のある言葉なんじゃないのかなあ。若い子にはどうなんでしょうね?全く別の聞こえ方するのかな?って、明らかに若者のいない空間で言ってもしょうがないんですけど。

「オーパーツ」やバンド名「相対性理論」なんて、思いっきり「ムー」的なフレーズだし、「四月革命」「ルネサンス」なんてのもアニメ的なヤオイ感のあるフレーズにも聞こえる。「地獄先生」にいたっては「ぬ~ベ~」ですからね。「CIA KGB FBIに共産党~」なんて、ネットでしょっちゅう陰謀話をしている人たちからしたら、「そうきましたか!」っていう。登場する単語単体では、どこまでもアキバ系(というくくりで言うならば)なんですよね。

これは、さっきの話で言うところの「萌えて気要素を加味した」という意味合いが強いのかもしれませんが、その加え方が絶妙なんです。知らない人が聞いても「あ!これってそっち系?」と思うような使い方ではなく、わかる人が聞くとわかる「そっち感」みたいな。

研究生:
「CIA KGB FBIに共産党~」のくだりを最初聴いた時は、僕は「ゴルゴ13」を思い浮かべてしまいました(笑)。ネット系のキーワードという助手の解釈とはかなり異なりますし、おそらく僕が的外れなのでしょうけれど・・・。固有名詞を投げかけることで、聴き手にイメージを喚起させていく類の音楽なのは一聴してわかりました。

歌詞の「醍醐味」は、先生、助手、小悪魔の発言内容に納得です。結局、本人たちの言ったもん勝ちなのでしょうけれど、あれこれ思いを巡らす楽しみはあるのかなと。

とりあえず、彼らの世界観の手がかりになる(はずの)キーワードをキャッチできた聴き手は、何らか楽しい気分になるのだろうと。ただし、僕がシングル試聴の時点で嫌悪感を抱いたのはおそらくこの点です。歌詞を聴くかぎりでは、バックヤードへの理解を強要させられている感を抱いてしまいました。なんか世知辛いバンドが出てきたな話なぁと感じてしまったのかもしれません。

助手:
おそらく研究生には「萌えの加え具合」というか、そちら側の要素が少し強く感じられたのかもしれませんね。それはそれで非常によくわかる気もします。ただ、バックヤードへの理解を求める歌詞は、まさに90年代初頭によく使われた手法ですよね。外国のバンド名や映画のタイトルを引用する、みたいな。ただ、決定的に違うのは、当時はそういう手法をかっこよさの表現として使っていたのに対して、相対性理論はユーモアとして使っている点だと思います。

研究生:
そうそう、王道のパターンだと頭では理解しつつ・・・なんですよね。僕もフリッパーズの「バスルームで髪を切る100の方法」などでは、タイトル一発でずっきゅんでしたし、そこにシンパシーを抱ける嬉しさはわかるんです。

でも、それだけでここまで評価されるものなのか?という違和感もありまして・・・。王道ということは、使い古された手法でもあるわけですから。でもこれは助手の指摘通り、彼らのバックヤードに含まれる萌え要素に、僕が拒否反応を起こしているだけなのかもしれないですね。

先生:
小悪魔さんのオヤジギャグすれすれというのがありましたが、このオヤジ、馬鹿だ思わせておいて、意外と天才かも?みたいな。
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