シティポップス感
研究生:で、このあたりのバンドのサウンドから聴き取れるのが、かつてのフュージョンサウンドも思い出される、どこか懐かしくて切ないコード感かと。助手が比較対象に使ったネハンベースにも見受けられる要素です。
日本のシティポップスにもフュージョンサウンドをベースとしたものが多く存在します。古くはブレイク前の山下達郎の地味系ソング、大貫妙子、苗字が変わる前のユーミンなど。ティン・パン・アレー系ですから、YMO周辺ワークスも頭に浮かびます(僕は『サマーナーヴァス』が浮かんでいます)。最近だと「喫茶ロック」なるジャンルが出現した時のバンドでしょうか。
そして相対性理論からも、オルタナティブロック、ポストロック、シティポップス、どのようにも受けとれる切なげなコード感が聴き取れるんですね。ただし、従来のシティポップスと決定的に違うのは、“クサい盛り上げ”がないところ。切なさが高まりきらないまま、じんわりと広がっていくような感覚は、解散直前時期の(『Terror Twilight』の頃)Pavementとも重なります。だから、シティポップスっぽくもあるのはあくまで「結果」。オルタナティブロックやポストロックのフレイヴァーを使って何を作り出すのか?が制作姿勢なのでしょう。
オルタナティブロックやポストロックにまつわる、世間的なイメージ(“エッジー”や“実験的”など)に耽溺することなく、その中に潜む日本の普遍的なポップスとの親和性を見抜いた。さらにそこから、同時代性を表現できる要素を抜き取り、「現代のヒットポップス」へと高めていった。その批評性と高い志からは、マエストロ然としたプライドのようなものも感じます。
小悪魔:
サウンド面に関して研究生さんに全面的に賛成です!!!ぱちぱちぱち。 なんか嬉しくなっちゃいました。Pavementとかすっごいわかります!