箱庭的
ガイド:「BACKYARD」・・・裏庭ですね。確かにサウンド的にも裏庭というか、箱庭エレクトロニカって感じがしました。でも、聴いて行くと1曲ごとに個性がありますね。ラストから2曲目の「Jack yourself」はとってもファンキー で、個人的にとても気に入りました。作るに当って何らかのコンセプトは持っておられたのですか?
鈴木:
コンセプトと言えるかどうかわかりませんが、曲ができた順番がアルバムの曲順となっていて、例えばアンビエントっぽい曲がきたから、次はリズムを足したような曲にしようとか、トータルバランスを意識しながら製作を進めていきました。四方さんが気に入ってくださった「Jack yourself」だけ以前に作った曲で、当初は少し方向性が違っててボツだったのですが、四つ打ちの曲がなかったので少し手を加えて急遽追加という形になりました。一応アルバムの頭からお尻までストーリーになってますので、リスナーの方に解釈してもらえると嬉しいですね。環境や状況に合わせて聴いても違いがあらわれると思います。
ガイド:
今回のアルバムは全てのプロダクションを自分でされたのでしょうか? 確か、鈴木さんは、仕事は速いほうだと言われていましたが、どのくらいの製作日数だったのですか?
鈴木:
エンジニアにミックスをお願いしたりミュージシャンに参加もらうというのも全然ありなんですが、今回は自分の中でどんどん形になっていくのが面白かったので、そこを追求した結果一人で全部完結してしまった。そういう意味では「箱庭」的な作り方かもしれませんね。ただ今回優先していたのは作る過程よりも結果だったわけで、磨きをかける前に焼くというレスポンスの速さも、明確なビジョンと方向性が定まってたからこそできた判断だと言えます。複数人で制作する場合は良くも悪くもなかなかこうはいきませんから。
また期間については継続的に作業をしているわけではないので、具体的な製作日数ではないのですが大体二ヶ月弱位で全体像はできてます。一度やり出すとまずは集中的にまとめ形にするという感じです。あと音楽を作るよりもWeb製作をお願いした千葉一裕さん(audiooo.com)とのサイト構築のやり取りが、良い意味でキリがなく難航しました。結果素晴らしいサイトが出来上がり満足しております。
“音”について
ガイド:ツール的にはどのようなものを使われたのでしょう?
鈴木:
鈴木光人 |
ガイド:
『IN MY OWN BACKYARD』は、配信限定でのリリースということで、サウンド面などにおいて特に製作上考慮されたことはあるのでしょうか?
鈴木:
マスタリング段階でAACにエンコードされた時の音質についてあらかじめ予想をしながら進める位で、曲を作る上ではほとんど考えずに進めました。
まぁ普段からiTunes Storeは利用していますので、ダウンロードしては「レベル大きいな」とか「低音うまく出してるな」といったサウンド傾向はおのずと聴いてしまいますが。最近は配信用にミックスを変えるという話しもよく聞きますが、今回はそこまで踏み込んでいないですね。
あとダウンロードされたリスナーの方から「パッケージで聴きたいです」という意見があって、「音質気になりますか?」と尋ねたら「ジャケを含め所有したいから」という感想がありました。ああ、なるほどと(笑)。ちなみにジャケットもWeb同様に千葉さんにお願いしました、おすすめです。