モダンポップというジャンル用語、この曲たちが流行っていた当時(70年代後半から80年代にかけて)使われていなかったと思います。また、ここからここまでモダンポップという線引きができるようなジャンルとも言いがたい。基本的には、ビートルズが解散(1970年)以降のビートルズっぽい(ビートリッシュ)大英帝国的メロディーやハーモニーをもった歌。ややロックンロール寄りのパワーポップと呼ばれるジャンルとは従兄弟のようなもんです。
「ストレンジ・デイズ」誌が発掘しているニッチポップなるジャンルにも、あまり日の目を浴びる事の無かった素晴らしきモダンポップ系が多いです。パンク・ニューウェイヴ以前なら10ccやELOを筆頭としたブリティッシュ・ポップ、ニューウェイヴ世代ならXTC、バグルズ、New Musikなどサウンド的にはテクノ化しながらもモダンポップの流れを着実に受け継いでいます。フィル・スペクターの流れを汲む60年代ガールポップ・リヴァイヴァル系も個人的には、モダンポップに入れていいのではと思います。じゃ、普通のポップとどう違うんだ?と言われてしまいそうですが、そこには英国的ポップ職人のこだわりがあるんです。
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01. XTC: The Dissapointed
今回の架空モダンポップ・コンピを作るにあたって、XTCで始まり、XTCで終わる事を決めていました。XTCは、英国的ひねくれ度が最大級で、それが一部のファンを虜にし、且つ、あまりメジャーになれない(偏見かもしれませんが、女の子ウケも良くなくって・・・でも、XTCの女の子ファンは偉い)。初期のパンキッシュなXTCも好きです・・・でも、ここではビートルズ指向が顕著に現れているアルバム『Nonsuch』(1992年)より、これまたビートリッシュな曲。
02. Martin Newell: The Greatest Living Englishman
XTCのアンディー・パートリッジがプロデュースしている事は、このアルバム『The Greatest Living Englishman』(1993年)を聴くと納得。The Damnedのポップ狂、キャプテン・センシブルも参加。マーティン・ニューウェルは、ちょっとジョージ・ハリスン似の不思議な年齢不詳のオヤジ。タイトルからして、これほど英国的なアルバムも珍しい。
03. Mike Oldfield: Moonlight Shadow
マイク・オールドフィールドと言えば、リチャード・ブランソンのヴァージン・レコードに始まる成功の礎を気付いた、映画『エクソシスト』のテーマでもある『Tubelar Bells』(1973年)のイメージが鮮烈で、プログレ、下手すればニューエイジの人なんですが、シングル・ヒットもした『Crises』(1983年)収録の「Moonlight Shadow」は、彼のポップ職人としての才能が、マギー・リリィーのヴォーカルとして開花。嶺川貴子やGroove Coverage(トランス系)も後にカヴァー。
04. Maisonettes: Heartache Avenue (Remix)
一発屋(1982年にイギリスで7位)として認識が世間的にはされていない(というか、知らない人の方が圧倒的に多い)メゾネッツです。City Boyという10ccのようなモダンポップ系バンドのロル・メーソンがヴォーカルをとっている、60年代フィールのテクノポップ。80年代のフィル・スペクター型Wall Of Soundとも言えます。バックの女性コーラスにもこだわりを感じます。アルバム『Heartache Avenue』(1993年)には、オリジナルとリミックス版の「Heartache Avenue」を収録。