著作権解放戦線?
さて、サンプリングに絡むバスタード・・・大バカ野郎の代表と言えば、ビル・ドラモンド(元Big In Japan)とジミー・コーティ(元Brilliant)からなる、本人たちは否定しているが著作権解放戦線(Kopyright Liberation Front)を意味するであろうThe KLFやThe JAMS(The Justified Ancients of Mu Mu)やThe TIMELORDSの名義で奇天烈な活動を繰り返す。
The JAMS名義でのファースト・アルバム『1987 (What The Fuck Is Going On?)』(1987年)では、ABBAの「Dancing Queen」がSex Pistolsの「God Save The Queen」と衝突するヒップホップ・ナンバー「The Queen And I」を収録し、当然ながらABBAに訴えられる。
ABBAと直談判するためにストックホルムに乗り込んだ二人だが、会えず(迷子になったらしい)・・・そして、何故か『1987』のゴールド・ディスクをストックホルムの売春婦たちにプレゼントし、"午前3時"(後のUK1位に輝いた「3AM Eternal」へと繋がる)に「The Queen And I」が街に鳴り響く。そして、『1987』は、農場で焼かれるのである。他にも、ジェームス・ブラウンやビートルズの大ネタ入り。後に、著作権をクリアした『1987 (The JAMs 45 Edits)』がリリースされる。当然、オリジナルの『1987』は現在売っていません。あるとすれば、ブートです。
先ほどのレコードが焼かれた農場がジャケットになった『The History Of The JAMS a.k.a. The Timelords』(1988年)では、ウィットニー・ヒューストンがThe JAMSに参加したかのような「Whitney Joins The JAMS」などのネタを披露。業界、メディアを敵に回しながらも、戦った彼らはバスタードポップ〔「Burn The Bastards」という曲が『Who Killed The JAMs?』(1988年)に収録〕の歴史上重要人物と言えます。
◆Copyright Casebook - The KLF and Abba
その後も、一発屋・ヴァニラ・アイス(Vanilla Ice)の「Ice Ice Baby」(デヴィッド・ボウイの「Under Pressure」から)などサンプリングに絡む事件簿は続きます。そのヴァニラ・アイスをサンプリングしちゃう人もいたりして。ヒップホップ系は、その手のネタが手法の一環とも言える訳で、バスタードの宝庫です。