「ポップ裏街道」の第1弾では、バスタードポップについて解説しましたが、バスタードポップ・・・名前は新しいけど、先ずはそのルーツを探ります。そして、リチャードX以外のメジャーなバスタードポップについてもご紹介。
ルーツとしてのエレクトロ
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そのルーツを考えてみた場合、Grandmaster Flash & The Furious Fiveになります。グランドマスター・フラッシュ(Grandmaster Flash)は、カッティング(後にスクラッチング)などのターンテーブル・テクニックを編み出したヒップホップ界のイノヴェーターです。彼らの1981年の12インチ・シングル『The Adventures Of Grandmaster Flash On The Wheels of Steel』(ジャケ写は1999年の3枚組ボックス『The Adventures Of Grandmaster Flash On The Wheels of Steel』)では、Chicの「Good Times」、ブロンディーの「Rapture」(ラップを取り入れた先駆け的ポップ)、クィーンの「Another One Bites The Dust」(クィーンの中でもファンキー度大)、Sugarhill Gangの「8th Wonder」、Spoonie Geeの「Monster Jam」、自らの「Birthday Party」などの曲の切れ端(snippets)を組み合わせて出来上がったクィック・ミックスと呼ばれる手法で出来上がっています。これぞ、元祖としての人力マッシュ・アップ。
後に独自の進化を遂げていくヒップホップですが、現在のテクノ~ハウス~エレクトロにも影響を与えたエレクトロファンク(単にエレクトロと呼ばれる場合もあります)の視点で見ていくと、このグランドマスター・フラッシュ、そして同じニューヨークのブロンクス出身のアフリカ・バンバータ(Afrika Bambaataa)などのエレクトロ・ファンク勢には、クラフトワークの影響が大。ジャケは、クラフトワークの「Trans-Europe Express」やYMOの「Computer Games」が収録されているグランドマスター・フラッシュの『The Official Adventures of Grandmaster Flash』(2002年)。ドイツというブラック・カルチャーから一見かけ離れた国の異形のサウンドが、ブラック・ピープルによってファンクと解釈されたのは、痛快。ロボットのファンクは人種の垣根を越えるというわけですかね。
アフリカ・バンバータの1982年のエレクトロ・クラシック『Planet Rock』(ジャケは2000年の『Planet Rock The Dance Album』)では、クラフトワークの「Numbers」と「Trans-Europe Express」が使われています。でも、元クラフトワークのヴォルフガング・フリューアは、「アフリカ・ダマシ」なんて呼んでますが。多分、クラフトワークは楽曲がそれほど多くないにもかかわらず、ジェームス・ブラウンと並びサンプリングされているアーティスト・ベスト5に入るでしょう。
◆KRAFTWERK - I BELIEVE - THE TRUTH IS OUT THERE!!