テクノポップ/YMO関連

YMOの遺伝子~第4回

YMOの歴史的作品を振り返りつつ、YMOのカヴァーをご紹介する企画です。第4回は、サウンド的ピークに達する中期作品、『BGM』といわゆる『TECHNODELIC』より。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

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1981年3月21日にリリースされたアルバム『BGM』は、オリコン・チャート2位まで行っていますが、セールス的には大幅にダウン。ブリティッシュ・ニューウェイヴとシンクロするYMOですが、『増殖』とはまた違う形での裏切り方がYMOらしくて。YMOに於ける『White Album』状態の『BGM』ですが、教授は『千のナイフ』と『HAPPY END』(『WAR HEAD』に続くソロとしてのセカンド・シングル『Front Line』のB面)といい、ソロ作品の使いまわしが目立っています。疲れていたんでしょうね。ジャケは、ファースト・アルバムも手がけた奥村靫正。知る限りでは、このジャケを表ジャケでパロったものは知りません。

01. BALLET
02. MUSIC PLANS(音楽の計画)
03. RAP PHENOMENA(ラップ現象)
04. HAPPY END
05. 1000 KNIVES(千のナイフ)
06. CUE
07. U・T
08. CAMOUFLAGE
09. MASS
10. LOOM(来るべきもの)


アルバム発表の1ヵ月後の4月21日にシングル『CUE』がリリース。細野・高橋のご両人のお気に入りとしても知られるこの曲は、SKETCH SHOW状態で作られた曲で、SKETCH SHOWのライヴでも明るいアレンジでやってました。B面の『U・T』は、スネークマン・ショーをパロったような歌詞(?)ですが、『BGM』の中でも際立ったスピード感が溢れる名曲です。

シングル・カットされている割には、あまり『CUE』はカヴァーされていません。前回の記事で紹介した『WHO'S YMO - 再日本製 -』でのBlue In The Forestとここで紹介する弦楽四重奏楽団、The Balanescu Quartetの『EAST meets EAST-Y.M.O.』(1997年)でのカヴァーぐらいです。なお、このアルバムは、高橋幸宏が監修。The Balanescu Quartetの『Possessed』(1992年)では、クラフトワークを中心にカヴァーしています。

1981年9月5日には、シングル『MASS』がリリースされます。壮大なるロシアの大地をイメージさせる力作なんですが、シングル・カットされるには意外な細野作品。B面の『CAMOUFLAGE』は、肯定的に気色悪いヴォーカルの高橋作品。

桑原茂一らからなるカバの会によるカヴァー・アルバム『YMOのカバ』(1992年)では、この『MASS』を3ヴァージョンからなる非テクノ・カヴァーをしています。『MASS~大地』はコーラス、『MASS~荒野』はラテン調さすらいの刑事(なんとなく分かるでしょ)、『MASS~希望』はまたコーラス。

Microstarのファースト・ミニアルバ『Birth Of The Microstar』(1996年)で、よりポップなよりカラフルなアレンジで『ラップ現象』をカヴァーしています。Microstarは、テクノな渋谷系として独自の道を歩んでいたNice Musicにいた佐藤清喜が、P-chanこと飯泉裕子を結成されたユニットです。
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