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歌う女優たち~Part 2 戸川京子さんが残した作品

『悲しみはリアルすぎて…』でデビュー、そして『星くず兄弟の伝説』にてマリモ役で好演した戸川京子さんの作品をふりかえります。(9月3日にページ追加)

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

2002年7月18日、戸川京子さんは37歳で生涯を閉じられました。どうして、彼女がそのような選択に至ったのかについて理解するすべはありませんが、彼女の残してくれた作品は永遠に残り続けます。近年どちらかと言えば、女優・タレントのイメージが強かった人ですが、シンガーとしての戸川京子さんについて、その記録を辿りたいと思います。(以下敬称略)

戸川京子のソロ・シンガーとしてのデビューは、1984年のシングル『悲しみはリアルすぎて…』(残念ながらジャケを所有していません)です。この曲、皮肉にも今回の悲しい出来事を象徴するタイトルとなってしまいました。お姉さんの戸川純は、既にゲルニカを経て、『裏玉姫』に代表されるニューウェイヴ歌姫として確固たるパブリック・イメージが出来上がっていました。彼女のデビュー曲を手掛けた近田春夫は、お姉さんの路線をあえて踏襲せず、「ネオ歌謡的アイドルとしての戸川京子」を演出しました。

近田春夫は、テクノポップ・ブーム最中の1980年に『星くず兄弟の伝説』というソロ・アルバムをリリースしています。このアルバムは、現在あーる盤として再発されています。ブライアン・デ・パルマ監督『ファントム・オブ・パラダイス』に触発された架空のサウンドトラック・アルバム。特筆すべきは、同年にアルバム『MISPRINT』でデビューをしたFILMSの赤城忠治が4曲を作曲、そしてグラム・テイストたっぷりのギターで参加していることです。

その架空のサウンドトラックに基づいて製作されたのが、1985年に公開の手塚真(ご存知でしょうが、お父さんは手塚治虫)の監督出世作でもある映画『星くず兄弟の伝説』です。近田春夫も原案・製作総指揮・音楽監督として参加。近田春夫は、ちょっとだけ浮浪者風のミュージシャンとしても出演しています(この映画はその手のお遊びが多いです)。大きなテーマは、「ロックと芸能界の不条理な関係」。多分、名作と位置付けられていない映画でしょうが、愛すべき映画です。
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