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ライヴ・レポート~Part I ヘンテコ兄弟Sparks来日!

6年ぶりのオリジナル・アルバム『BALLS』を引っさげて、2001年1月に来日したSparks。今回が日本での初ライヴとなりました。Pizzicato Fiveの新譜『さ・え・ら ジャポン』にも参加した彼らは、大の日本びいき。『Halfnelson』(それにしても変なバンド名)名義でデビューしてから約30年後に訪れた、予期せぬ朗報。『BALLS』は、80年前後の彼らをほうふつとさせるエレポップな仕上がり。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

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Sparksはちょび髭がトレードマークのRon Mael(兄)とオペラ唱法のヴォーカリスト、Russell Mael(弟)とからなる兄弟ユニット。ポップ・マエストロとして知られるTodd Rundgrenに見いだされた彼らはロサンジェルス出身であるが、アメリカにはなじめなかったらしくイギリスへと活動の場を移しました。

他のメンバー脱退により兄弟ユニットとなり、74年にリリースされた『KIMONO MY HOUSE』はモダンポップの名盤。ニューウェイヴが生まれる前に既にニューウェイヴしていました。でも、当時はただ“変”としか受け取られていなかったのかもしれません。

先取り精神旺盛な彼らは、ミュンヘン・サウンドの仕掛け人Giorgio Moroderをプロデューサーに迎え、エレポップの名盤『NO. 1 IN HEAVEN』を79年にリリース。83年にはSparksの非公式ファンクラブの会長であった元GO-GO’SのJane Weidlin(彼女のソロ・シングル『Rush Hour』も名曲)とデュエットしたシングル『クールにキ・メ・テ』が、一部で話題になりました。

90年代になって活動が少なくなったものの、97年には大胆なセルフ・カヴァー・アルバム『PLAGIALISM』で、ErasureやJimmy Summerville(元Blonski Beat、Communards)等のエレポップ仲間との共演を果たしました。

Ronがデザインした『BALLS』のジャケットは、銀色の外箱に大きな円形の穴があいており、OGLIO RECORDSの輸入盤では赤、緑、黄、青の色違いの内部ケースがあり、「4色全部そろえよう」などと宣伝しています。FLAVOURから2000年10月にリリースされた日本盤は渋い黒ヴァージョン。5色のヴァージョン全部持っている人などいるのでしょうか?

Sparksを知らない人がこのアルバムを聴いたら、Pet Shop Boys的と思うかもしれません。でも、それはSparksが模倣であるからではなく、ルーツであるからでしょう。

海外だけでなく日本のアーティストにもリスペクトされるSparksですが、ライナーノーツではちわきまゆみ(元Menu)、Salon Music(元祖渋谷系)、加藤賢崇(東京タワーズ)、岡野ハジメ(元東京ブラボー、Pink、現売れっ子プロデューサー)等が賛辞を贈っています。Salon Musicは、渋谷クラブクアトロにてSparksとジョイントライヴをしました。また、僕が大好きな幻のテクノポップ・バンドであるFilmsのリーダー、赤城忠治もSparksからの影響は明らかで、彼のちょび髭もRonにそっくりです。

1月22日に大阪の心斎橋クラブクアトロのライヴに、僕は行きました。70年代から聴いていたような年齢層が高い人達の多さにたじろぎましたが、ちょっとおじさんになったRussellと30年前からおじさんのRonの姿を拝めただけでも満足。新作『BALLS』からの楽曲と『The Number 1 Song In Heaven』等の往年のスタンダード・ナンバーを交えての、ライヴと言うよりショウと言うべき内容。Ronは一言も喋りませんでしたが、『Ronの隠し子らしい赤ちゃん浮遊ショウ』等の余興で楽しませてくれました。
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