イラストの美しさが引き立つポーキュパイン・ツリーの紙ジャケ
紙ジャケでの再発はレコード会社の意向で実現することが多いのだが、アーティスト自らの意思が反映されている場合もある。たとえば、その強力なサウンドでコアなファンを持つポーキュパイン・ツリーというバンドが、以前の7作品を一挙に紙ジャケット仕様で4月に再発しているが、これはバンドの中心人物であるスティーヴン・ウィルソンのこだわりで実現したものだ。
スティーヴン・ウィルソンにはこれまで何回か会ったことがあるが、そのクールなルックスとは違って、サウンド、音質、楽曲の作りなど、すべてにおいて自らのこだわりを追及する情熱的なアーティストという印象。その彼は、自分はアナログレコードで育った世代で、ジャケットを眺めながら音を聴くというスタイルが大好きだったから、CDになってもカバーアートにはこだわりたいと言っていた。そして、“アルバムの中身もジャケットもライヴも、すべて含めてひとつの作品として提示するのがアーティストだ”とも。
美しいイラストが印象的なポーキュパイン・ツリーのベスト盤『Stars Die』 |
ポーキュパイン・ツリーのサウンドの中身を言葉で説明するのは難しいのだが、端的にいえばテクニカルでへヴィでプログレッシブ、といったところ。アルバムごとにサウンドも変化しているのだが、賛否両論を覚悟の上であえて似ているアーティストを挙げるすると、フランク・ザッパやドリーム・シアターなど。今回紙ジャケで再発された7作品の中には、90年代の楽曲を集めたベスト盤『Stars Die』も含まれているので、初めて聴くならこのあたりがオススメだろう。
紙ジャケのメリット、デメリットは次のページで