第二、第三の不運も乗り越えたデフ・レパード
ようやく軌道に乗ったデフ・レパードが4枚目のアルバム制作を開始した頃、第二の不運が訪れる。ドラマーのリック・アレンが事故で左腕を失ってしまうのだ。四肢を駆使して演奏するドラマーにとってこれは致命的だ。ちなみに一般的な右利きのドラマーの場合、左手は主にスネアドラムを担当する。つまりロックのキモである2拍、4拍のビートはこの左手から生まれるのだが、リックはその左腕を失ってしまったのだ。当時のロック雑誌には、他のメンバーは彼の復帰を待つというインタビューが掲載されたし、リック自身も復帰に向けリハビリ中という記事も載った。しかし、どう考えても復帰は無理だろう。誰もがそう思った。
リック・アレンが奇跡の復帰を遂げたヒット作『Hysteria』 |
不運はこれだけでは終わらなかった。第三の不運は、続く5枚目のアルバムの制作時の1991年。今度はなんとギタリストのステイーヴ・クラークが死亡してしまう。それでもデフ・レパードはアルバム制作を続行した。ギターパートはフィル・コリンが一人で担当し、翌年『Adrenalize』を発表。これも大ヒットになっている。
その後のデフ・レパードは、ディオやホワイトスネイクに在籍したヴィヴィアン・キャンベルを加入させて再び5人体制となり、90年代から現在に至るまで活動を続けている。96年発表の『Slang』は、当時流行していたオルタナティブロックの影響が感じられる作品で以前からのファンには不評だったし、2002年の『X』もセールス的には振るわなかった。しかし2004年にリリースしたベスト盤、2006年のカヴァーアルバム『Yeah!』はヒットを記録。やはりデフ・レパードには80年代のサウンドを求めているファンが多いということだろう。
最新作の『ソングス・フロム・ザ・スパークル・ラウンジ』は、以前の作風に近い快作 |
この新作を引っ提げて、デフ・レパードは現在ホワイトスネイクとともにヨーロッパツアーの真っ最中。続く夏のアメリカツアーではREOスピードワゴン、スティクスといった70~80年代を代表するアメリカンロックバンドとの共演も予定されている。そしてその次はいよいよ日本にやってくる。
■デフ・レパード/ホワイトスネイク 日本公演
- 10月23日(木)、10月24日(金)
- 日本武道館
- 問い合わせ:ウドー音楽事務所
【関連リンク】
デフ・レパード公式サイト
ユニバーサルミュージックのデフ・レパードの情報ページ
ウドー音楽事務所