ドラマチックで感動的な傑作
完璧なクイーンサウンドの詰まった『オペラ座の夜』。ジャケットはメンバー全員の星座をモチーフにデザインされている |
このアルバムが発表されたのは75年。前年にリリースした前作『シアー・ハート・アタック』からは、『キラー・クイーン』などのヒットナンバーが生まれていて、クイーンの人気がじわじわと高まってきた時期だった。そこにこの傑作といわれるアルバムが発表されたのだから、世界的に人気が爆発するのも当然と言える。ロックにポップスやクラシック、オペラなどの要素を融合させ、クイーンサウンドとしか呼べないような唯一無二の世界を完成させたのがこのアルバムだ。
このアルバムの素晴らしさは、バラエティに富んだ楽曲が豊富に収録されていること。バラエティに富んでいると、まとまりがない構成になってしまいがちだが、起承転結を感じさせる展開のため、まるで雑多な雰囲気は微塵も感じられない。それどころか、逆に全体的にとてもまとまりが感じられるところがすごい。それぞれの曲のクオリティが高いことに加え、その内容も並べ方も、アルバム全体を見通した作りになっているからなのだろう。まるでオペラのようなドラマチックな展開は、まさにタイトルの通りだ。
次のページはもうひとつの名盤をご紹介します。