J-POP史上最もMADなクリスマス・シングル
■ 第1位 柳原幼一郎 「クリスマス・ベル」柳原幼一郎 『DRIVE THRU AMERICA』 アメリカン・ポップス、ロックに意訳した歌詞を載せカヴァーした10曲と、オリジナル2曲からなる1st.ソロ・アルバム(1995)。「クリスマス・ベル」は未収録ですが、必聴の1作です |
栄えある(?)第1位は柳原幼一郎※の「クリスマス・ベル」という楽曲です。
※ 柳原幼一郎
三多摩地区を代表する異形のROCKバンド”たま”(1984~2003)のオリジナル・メンバーだった人。バンド脱退後は本名である柳原陽一郎名義で活動中。11月30日に最新作 『ウシはなんでも知っている』 が発売されたばかりです
夢にやぶれクリスマス・イブにこの世からいなくなろうと決心した主人公の、まるで遺書のような歌詞が、少しとぼけた味わいのある柳原のヴォーカルで歌われると、暗さのみじんも感じられなくなるから不思議。
白井良明(ムーンライダーズ)のGeorge Harrisonばりのギターとアレンジも特筆ものです。何を担当しているのかは不明ですが(ドラムかな?)クレジットには鈴木祥子の名前も記されています。
カップリングには、大ヒットを出したアーティストに関わってくる業界人に悪態をつきつつ別れた彼女のことを想うという、全体的にまんべんなくネガティヴな歌詞と、それとはうらはらに陽気な曲調とがバッド・チューニングを引き起こす楽曲「わたしは音楽家」が収録されています。
サンタにもトナカイにも愛想を尽かされる男が4コマ風に描かれたジャケット・アートは黒鉄ヒロシ画。そんな諸人こぞりた 『クリスマス・ベル』 は、もろもろ併せてJ-POP史上最もMADなクリスマス・シングルであると、ここに断定いたします。
既に廃盤の本作は中古盤店でも縮小傾向にある8cm CDである為、探すのはかなり大変だと思われます。しかしそこがキモ。頑張って探して、見つかった頃にはきっとクリスマスも過ぎ去っているんじゃないか、ということでひとつ。
発売元である東芝EMI、もといEMIミュージック・ジャパンは最近、90年代J-POPの名作群を紙ジャケ仕様、ボーナス・トラック付で再発する「standard of 90's」シリーズを先陣切って展開しているので、『DRIVE THRU AMERICA』 がそのリストに入って『クリスマス・ベル』全曲入りで再登場することを願いましょう。
【All About内関連リンク】
- All About WEEKENDER 「ひとりきりのクリスマスですが、何か?」
- 柳原陽一郎オフィシャル・サイト Yananet
- ロックンロールニュース 「standard of 90's x rock'n'roll news」
リリー・フランキーのオフィシャル・サイト「ロックンロールニュース」による「standard of 90's」シリーズ特集記事シリーズ。初期作品を 「恥ずかしくて聴くに堪えない」 と語る田島貴男インタビューが面白すぎ!