昼メロ女優として有名なハンター・タイロ。4児の母親とは思えぬスタイルの良さ、美しさです。 |
「妊婦はセクシーではない」は納得できない!ハンター・タイロの場合
1997年12月、働く女性を勇気付ける判決がアメリカで下されました。この裁判は、女優ハンター・タイロが「妊娠を理由に不当に契約を破棄された」「精神的なダメージを受けた」と、アメリカTV界のドンであるアーロン・スペリングのスペリング・プロダクションらを相手取り訴訟を起こしたものです。
1996年、当時アメリカで大ヒットしていたTVドラマ『メルローズプレイス』(1992/1999)に出演決定していたハンターは、契約を結んだ5週間後に、妊娠していることに気がつきました。妊娠の事実を番組プロデューサーに告げたところ、なんと「すぐに中絶してくれ。そうすれば撮影に間に合うだろ」と言われたのです。当時、34歳であったハンターは、中絶を拒否。妊娠していても、撮影技術の助けがあれば役は演じられると言ったものの、妊婦にセクシーな役は無理と、くびになってしまったのでした。
『ビバリーヒルズ高校/青春白書』(1990/2000)など多くのヒット番組を手がけているアーロン・スペリングを敵にまわすことは、ハンターの女優生命が閉ざされる可能性も高く、大きなかけでした。
裁判でも、彼女は女性として屈辱的な思いをします。「彼女が演じる役が太っては困る」「妊娠していると、肌が汚くなる」「妊婦は精神的に安定していない」「妊婦はセクシーではない」などと、彼女は攻撃されました。
ハンターは、これに真っ向から対決。そして1996年の12月初め、彼女は何の前触れもなく「これからしばらく、裁判には出席できません」と裁判官に告げたのです。その場に居合わせた誰もが「こんな大事な時期に・・・」と眉をひそめると、彼女は着用していたジャケットを脱ぎ「明日が出産予定日なので」と微笑みました。皆が、はっと驚きました。連日タイトなミニスカートをはき、相変わらず美しく、手足も細っそりとし、疲れた様子も見せず、ジャケットで上手くお腹を隠していたため、誰もが彼女の出産はまだまだ先だと思っていたのです。
これが大きく影響したのか、彼女は勝利を収めました。心情的損害として400万ドル(約4億円)、経済的損害として90万ドル(約9千万円)の賠償金を手にした彼女は、「私のための勝利じゃない。全ての女性、そして生まれてくる子供たちが勝ち取ったもの」とコメント。
その後、以前レギュラー出演していたアメリカで大人気の昼メロ『The Bold and the Beautiful』(1987~)に再出演したりと、4人の子供の母親、良き妻だけでなく昼メロ女優として活躍しています。
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