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おと・な・り 熊澤尚人監督インタビュー

古いアパートでおとなり同士となった30代の男女を描いた話題の映画『おと・な・り』。熊澤尚人監督にインタビューをしました。

執筆者:オライカート 昌子

古いアパートでおとなり同士となった30代の男女を描いた話題の映画『おと・な・り』。熊澤尚人監督にインタビューすることができました。

想像することは相手を思いやること

おと・な・りの熊澤尚人監督
『おと・な・り』の熊澤尚人監督

ガイド:この映画を作る過程で最初から携われたと思いますが、映画を作るにあたって一番惹かれた要素はどんなものがありましたか?

熊澤尚人監督:隣の音を聞いて、癒されたり、今隣の人がどうしているのか、体調がいいのか、機嫌がいいのかなどを想像することは、僕らが生きていくなかで大切なことだと思ったんですね。隣の音を聞きながら、想像する映画は素敵だなと思いました。

それは原型のアイデアなのですが、想像することは相手を思いやる行為だと思いました。そこを軸に、結果的に隣から聞こえる音を通じて相手に引かれていくお話になったわけですが、そこは大切に考えていました。

ガイド:映画を作っていく中で心がけたことは?

熊澤尚人監督:音が主題になっていく映画なので、音を聞きながら想像して、惹かれていく物語なので、どういった音だったら、彼らにとって心地よいのか、それなら聞こえ方はどうなのだろうかと考えました。こだわって嘘にならないようにしていこうとしていました。

ガイド:隣から聞こえる音が、迷惑でなく基調音になっていくわけですね。

熊澤尚人監督:どういう音が基調音なのかは、人それぞれなのですが、彼らにとっては、隣から聞こえてくる音が基調音になってくるのかなあ。そこまでは、映画の中で説明はしていませんが、見ている側にとっては想像できることだと思います。音って面白いなっておもいました。

ガイド:花屋さんとカメラマンが出てきますが、視覚的ですね。それから花の香りなど、五感も刺激されますね。

熊澤尚人監督:どちらかというと、想像力がテーマだという映画だったので、言葉やせりふで説明するのではなく、人間に備わっている感覚、つまり五感で、想像したり、楽しめる映画になったらいいなとは思っていました。

ガイド:音でつながるというのは、メールとも共通していますね、見えないというところで。

熊澤尚人監督:メールも想像力は必要になると思います。ですが、音とメールの違いもあります。隣から聞こえる音は生の音。こちら側が聞きたくてもいつも聞こえてくるわけではない。生身のものという違いがあります。想像力をかきたてるのは同じです。
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