アーティストの才能に触れることができる
ジャクソン・ポロックは、20世紀のアメリカを代表する画家。偶然性を美しく描くアクション・ペインティングを確立した。 |
特に現代アートの作品は、教科書に載っているわけでもなく、日常的に触れる機会もあまりありません。ジャクソン・ポロックや、ジャン・ミシェル・バスキアのように、名前は知っていても、作品がどのようなものか知らない場合もあると思います。映画をきっかけに、現代アートの刺激的で豊かな世界に興味が出てくるとしたら、ラッキーですよね。
日本では、まだ名前が浸透していない芸術家に、20世紀のイギリスを代表するフランシス・ベイコンがいます。この人の内面と愛を濃厚に描いた映画が、『愛の悪魔 フランシス・ベイコンの歪んだ肖像』です。フランシス・ベイコンと聞けば、ルネサンスの哲学者、「フランシス・ベーコン」を思い描く人も多いのではないでしょうか。アイルランド出身のこの芸術家は、実は、哲学者フランシス・ベーコンの子孫なのです。
ひらめきの瞬間を追体験できる
フェルメールの作品「真珠の耳飾りの少女」をテーマに、大胆に知られざる画家の姿を書いた作品。 |
才能を認められていたものの、まだブレイクしていなかったジャクソン・ポロック。彼が新しい表現方式を見出し、有名になるきっかけになる作品を着想したのは、絵筆から床に絵の具が垂れた瞬間。
オランダの画家、フェルメールが、「真珠の耳飾りの少女」を描いたきっかけは、メイドの少女の純真さに心揺すぶられたこと。映画『真珠の耳飾りの少女』では、そのように描かれています。
寡作で、謎の多い画家フェルメールは、19世紀以降再発見され、静謐な空間と差し込む光の美しさが特徴。ハンニバル博士が偏愛する画家としても有名です。
作品が産声を上げるきっかけは、映画を作る側にもあるはずです。だからこそ映画では、その特別な瞬間が、美しく、また説得力を持って描かれます。私たちの誰もが、時折、小さなひらめきを得ているのではないでしょうか?そのひらめきを、どれだけ大切にできるか、形に出来るのか、アーティストを描いた作品は、思い出させてくれるのです。
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