方法2 待つ
『靴に恋して』は靴をモチーフに5人の女性を描き、最後は全員が結びつく見ごたえのある作品。 |
長い期間ずっと恋人同士で、このまま居心地よい関係が続くと思っていた矢先に、「別れよう」と言い出されたら、なかなか立ち直れません。そんな場合は、どうすれば良いのでしょうか?
人生模様を多少重めに、そしてお洒落に、後味爽やかに描いたスペイン映画『靴に恋して』の中で、靴のデザイナー志望の女性、レイレに起きたのは、そんなこと。
大喧嘩をきっかけに、5年間同棲した恋人のクンが、出て行ってしまうのです。別れる理由も言わずに。
不器用なレイレは、盗んだ靴で、深夜のクラブで踊り、ゲイの友達に話を聞いてもらったりしますが、クンへの想いは、なかなか消えません。消えるどころか、彼女はさらに危険な深淵をのぞきこむほどまで落ち込みます。
レイレのクンへの思いは、激しく執着していますが、誰でも少しは共感してしまうと思います。恋がすべてであればあるほど、別れは痛みを伴います。そんな場合は、小手先の対処法では、どうしようもありません。
できるのは、思い出に浸りながら、待つことだけ。待つのは、自分を捨てた彼が戻ってくるのをではなく、恋に生きていた間、忘れていた自分のこと。自分が、もう一度立ち上がるのを待つのです。それ以外、何ができるでしょうか?
待っているうち、必ず自分の中に新しい部分が生まれます。時間はかかるかもしれませんが、その時間も、後から考えれば貴重なものに思えるはず。
『靴に恋して』では、レイレ以外にも、年齢も環境もまちまちな4人の女性が描かれます。それぞれが、不器用に、一般的な幸せとは無縁に生きています。そんな生き方が愛しく思えるのは、誰でも多少は、不器用な部分を持っているからかもしれませんね。
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